アメリカ情報機関 “プーチン大統領の当初の目標は変わらず”

アメリカの情報機関トップは、ロシアのプーチン大統領が、依然としてウクライナの大部分を掌握したいと考えているとする一方、ロシア軍の戦力は低下しているとして、戦闘が長期化する見通しを示したと、一部のメディアが伝えました。

ロイター通信によりますと、アメリカの情報機関を統轄するヘインズ国家情報長官は先月29日、首都ワシントンで開かれたイベントで講演し、ウクライナ情勢について「戦況は引き続き厳しい。ロシアによる攻撃はより激しくなっている」と述べました。

ヘインズ長官は「われわれは、プーチン大統領がウクライナの大部分を掌握したいという、当初の目標を変わらず持ち続けているとみている」と述べました。

ただ「プーチン大統領の軍事的な目標と軍の能力は一致していない」と述べ、4か月以上に及ぶ戦闘によりロシア軍の戦力が低下し、目標が達成される可能性は低いと見ているということです。

そして、ヘインズ長官は今後の見通しについて3つのシナリオを挙げました。

このうちもっとも可能性が高いシナリオとして、ロシア軍が徐々に戦果を得るものの、突破口を開くことにはならず、戦況が行き詰まることを挙げ、戦闘が長期化する見通しを示しました。

また、そのほかのシナリオとしてヘインズ長官は、ロシア側が突破的な大きな前進を遂げること。

それに、ウクライナ側が、ロシア軍がすでに掌握しているヘルソン市の周辺や、その他の南部の地域を取り戻すなど、小さな成果を得て前線の安定化に成功することを指摘したということです。