【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7月1日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7月1日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ミサイル攻撃 6月後半は202回 前半の2倍以上に

ロシア軍によるウクライナ国内へのミサイル攻撃の回数についてウクライナ軍参謀本部は30日の会見で、6月13日から29日の6月後半の期間だけで202回に上ったことを明らかにしました。1日から12日までの6月前半は82回だったということで後半は2倍以上に増えていることになり、ロシア軍がミサイル攻撃を強化していることがわかります。
ウクライナ軍は多くの民間施設が標的になっているとしていて、市民に対する無差別攻撃だと強く非難しています。

米シンクタンク「ウクライナ沿岸での圧力 いくらか緩和」

ウクライナ側がロシア軍が占拠していた黒海の拠点の島、ズミイヌイ島を奪還したと発表したことについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は30日の分析で「ロシアの敗北により島からロシアの防空システムと対艦ミサイルシステムが取り除かれることで、ウクライナ沿岸での圧力がいくらか緩和されることになるだろうと」と指摘しています。ただその一方でロシア軍はロシアが一方的に併合しているクリミアなどにある地対艦ミサイルシステムや黒海艦隊の艦船を使うことで、依然としてウクライナの貨物を標的にすることができるとして海上封鎖は続くとする見方を示しています。

オデーサ州 集合住宅にミサイル “子ども含む20人死亡”

ウクライナの非常事態庁によりますと、ウクライナ南部のオデーサ州で1日未明、9階建ての集合住宅と保養施設にミサイル攻撃があり、1日午前11時現在、子どもを含む20人が死亡したということです。また子ども6人を含む38人がけがをし病院で手当てを受けているということです。
非常事態庁がSNSで公開した写真や動画では建物の表面などが大きく壊れ周囲にがれきが散乱している様子や、救急隊員たちが救助活動などに当たっている姿が確認できます。オデーサ州の当局はウクライナ軍の話としてミサイル攻撃は黒海方面からのロシアの軍用機によるものだと伝えています。

ウクライナ軍総司令官 “ズミイヌイ島 欧米各国の連携で奪還”

ウクライナ軍が黒海のズミイヌイ島を奪還したことについてウクライナ軍のザルジニー総司令官は先月30日、自身のSNSに投稿し、ウクライナ製のりゅう弾砲が島の解放に重要な役割を果たしたと明らかにしました。そのうえで「敵を打ち負かす手段を提供してくれた海外のパートナーに感謝する」として、ウクライナと軍事支援を続けている欧米各国の連携もあって島を奪還できたと強調しました。

ゼレンスキー大統領 ズミイヌイ島の奪還を強調

ウクライナ南部のオデーサ州の沖合にありロシア軍が占拠していた黒海のズミイヌイ島について、ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、新たな動画を公開し「ズミイヌイ島は再び自由になっている」と述べ、島を奪還したと強調しました。そのうえで「ズミイヌイ島は戦略的な要衝で黒海をめぐる情勢を大きく変える。まだ安全が保障されたわけではないし敵は戻ってくるかもしれない。しかし敵の行動を大きく制限することができる」と述べました。
一方、激しい戦闘が続く東部ドンバス地域については「状況は依然として非常に厳しい。火力の面ではいまも敵が圧倒的に優位だ」と述べ、欧米各国からの軍事支援の強化を改めて訴えました。

黒海のズミイヌイ島をウクライナ軍が奪還

ウクライナ南部のオデーサ州の沖合にありロシア軍が占拠していた黒海のズミイヌイ島についてウクライナのイエルマク大統領府長官は先月30日、自身のツイッターに投稿し「もはやズミイヌイ島にはロシア軍はいない。われわれの軍はすばらしい仕事をした」として、島を奪還したことを明らかにしました。ズミイヌイ島は軍事侵攻が始まった直後にロシア軍に占拠され、ロシア側が港湾都市オデーサの攻略に向け重要な拠点と位置づけているとみられていました。
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は先月30日、島から軍を自主的に撤退させたと主張したうえで「ウクライナから農産物を輸出するための『人道回廊』を設置するという国連の努力にいかなる障害もないことを国際社会に示すものだ」と説明しています。
今後ウクライナ側が南部や黒海で反転攻勢に転じ、ロシア軍の海上封鎖によって滞っていた穀物輸送の再開につながるかどうか注目されます。

プーチン大統領「サハリン2」主体をロシア企業へ

石油・天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」についてプーチン大統領は先月30日、事業主体の「サハリンエナジー」社をロシア企業に変更するとする大統領令に署名しました。大統領令はその要因として「ロシアの国益と経済安全保障に対する脅威」をあげていて、ロシア政府が新会社を設立したうえで現在の株主は1か月以内に株式を取得することに同意するかどうかを通知する必要があるとしています。
「サハリン2」の事業主体の「サハリンエナジー」社には▽ロシア最大の政府系ガス会社、ガスプロムが50%▽イギリスの大手石油会社シェルが27.5%、日本から▽三井物産が12.5%▽三菱商事が10%を出資していますが、シェルはことし2月に事業からの撤退を発表しています。
事業主体がロシア企業に変更されることで今後日本の大手商社2社の出資にどのような影響が出るのかは不透明な状況です。

ロシア軍東部リシチャンシクに向けた攻撃を激化

ロシア軍はウクライナ各地へのミサイル攻撃などを続けていて、完全掌握を目指す東部ルハンシク州ではウクライナ側の拠点、リシチャンシクに向けた攻撃を激化させています。
現地の親ロシア派の武装勢力の幹部は先月30日、リシチャンシクの主要なインフラを掌握したとしていて、ルハンシク州のハイダイ知事もSNSに投稿し、リシチャンシクについて「ロシア軍はあらゆる兵器を使って攻撃を続けていて、市内に安全な場所を見つけるのは難しい」と厳しい状況を明らかにしました。

北欧2か国のNATO加盟 トルコ エルドアン大統領が改めてけん制

北欧のスウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟をめぐってはトルコが当初、両国がテロ容疑者の引き渡しに応じていないなどとして難色を示していましたが、先月28日、テロ容疑者を引き渡す法的な枠組みを確立するなどの合意が成立しトルコも両国の加盟の支持に回りました。
NATOの首脳会議の閉幕を受けスペインの首都マドリードで先月30日、記者会見したトルコのエルドアン大統領は合意が外交的な勝利だと成果を強調する一方で「合意文書の約束が守られなければ加盟はできない」と述べ、北欧2か国を改めてけん制しました。
一方、これに先立つ先月29日、スウェーデンのアンデション首相はロイター通信に対し「引き渡しはすべてスウェーデンの国内法や国際法に基づいて判断される」と述べ、引き渡しはあくまで法律に基づいて行われると、強調しています。
このため北欧2か国のNATO加盟への手続きがどこまで迅速に進むかは予断を許さず、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアを前にNATOが結束していけるのかが引き続き焦点となります。

NATO首脳会議閉幕「加盟国守るための決定」成果強調

NATOのストルテンベルグ事務総長は記者会見で、NATOをとりまく安全保障上の環境が厳しくなっているという認識を示したうえで「NATOがこれからも平和を守り、紛争を防ぎ、加盟国の国民と価値観を守っていくための決定を行った」と述べ、首脳会議の成果を強調しました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中で開かれた今回の首脳会議では、ロシアを直接的な脅威と位置づけ加盟国の防衛態勢を大幅に強化し、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟に向けて正式な手続きを始めることでも合意しました。

G20議長国インドネシア ジョコ大統領 プーチン大統領と会談

G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領がロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、ウクライナのゼレンスキー大統領からのメッセージを伝えるなど双方の仲介に意欲を示しました。
インドネシアのジョコ大統領は先月29日にウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と会談したのに続いて、先月30日にはロシアの首都モスクワを訪れ、プーチン大統領と会談しました。
会談後の会見でジョコ大統領は「ゼレンスキー大統領からのメッセージをプーチン大統領に伝えた。双方の橋渡し役を担う用意がある」と述べ、双方の仲介に意欲を示しました。そして「直ちに戦争を終結させ、食料や肥料、エネルギーの供給網を回復すべきだ」と述べ、世界的な食料やエネルギーの危機を回避するためにも停戦を急ぐべきだという考えを示しました。
これに対してプーチン大統領は「西側諸国は自分たちの経済政策の誤りを認めず、ロシアの肥料の供給にも制限を加えることで世界の農業生産をさらに不安定にしている」と欧米側を非難する一方で、インドネシアや友好国に対しては食料や肥料を供給し続けると強調しました。
ことし11月にインドネシアで開かれるG20の首脳会議をめぐっては欧米各国がプーチン大統領の出席に難色を示していますが、ロシア大統領府の報道官は参加の形式はプーチン大統領自身が決めるとしています。