プーチン大統領 NATOの動きをけん制 友好国との関係強化図る

ロシア軍はウクライナで東部ルハンシク州の完全掌握を目指し戦闘を激化させています。さらにプーチン大統領は、北欧2か国のNATO=北大西洋条約機構加盟の動きをけん制し、友好国との関係強化を図るなど外交の動きも強めています。

広範囲にわたってウクライナへの攻撃を強めているロシア軍は、完全掌握を目指す東部ルハンシク州でウクライナ側の拠点リシチャンシクに向けて戦闘を激化させています。

現地の親ロシア派の武装勢力側の幹部は30日、ロシアの国営メディアに対し、リシチャンシクの製油所や幹線道路を掌握したと主張しました。

一方、ルハンシク州のハイダイ知事は30日、自身のSNSに投稿し、リシチャンシクについて「ロシア軍はほぼすべての兵力を投入し、掌握を図っている。敵はあらゆる兵器で攻撃を続けていて、市内に安全な場所を見つけるのは難しい」として、激しい攻撃にさらされていることを明らかにしました。

イギリス国防省は30日に発表した分析でウクライナ軍について「戦闘を遅らせながら戦い、包囲される前に、秩序を保ちながら撤退している」と指摘し、戦術的な撤退も行いながら、ロシア軍を消耗させようとしているという見方を示しました。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は、軍事侵攻後、初となる外国訪問を行い、友好関係にある国の首脳たちと会談を続けています。

30日には訪問先の中央アジアのトルクメニスタンで、NATOにフィンランドとスウェーデンの加盟に向けた手続きを正式に始めると決めたことについて「軍の部隊やインフラが配備される場合、われわれは鏡のように対応し、同じ脅威を与えなければならないことを明確に理解すべきだ」と述べ、強くけん制しました。

プーチン大統領は、このあと、首都モスクワで、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領と会談する予定です。

友好関係にある中国やインドなどもメンバーとなっているG20の議長国との会談を通じて、存在感を高める思惑があるとみられます。