「感染が再拡大」警戒レベル引き上げ 東京都モニタリング会議

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況について、都の専門家は「感染が再拡大している」と指摘し、警戒レベルを1段引き上げました。

東京都は、都内の感染状況と医療提供体制を専門家が分析・評価するモニタリング会議を開きました。

この中で専門家は、感染状況の警戒レベルを1段引き上げ、4段階のうち上から2番目の「感染が拡大している」としました。

新規陽性者の7日間平均は、29日時点で2337人となり、2週連続で前の週を上回っていることなどから、専門家は「感染が再拡大している」と指摘しました。

オミクロン株のうち感染力がより高いとされる「BA.5」の疑いがあるウイルスの割合が増えているほか、都の発熱相談センターに寄せられる相談件数も増加傾向だということです。

専門家は「3回目のワクチン接種を促進するとともに、高齢者や重症化リスクが高い人への4回目の接種を加速する必要がある」と指摘しました。

一方、医療提供体制は「通常の医療との両立が可能な状況である」として、警戒レベルは下から2番目を維持しました。

ただ、入院患者は今月22日時点で614人だったのが、29日時点では857人になり、2週連続で増加しています。

さらに、専門家は、熱中症の患者が増えている影響で、救急搬送に時間がかかるケースが増えているとして、「今後の動向を警戒する必要がある」と指摘しました。

専門家「感染対策と熱中症対策の両立を」

モニタリング会議で、東京iCDCの専門家ボード座長で東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、都内では新規陽性者の増加とともに、猛烈な暑さが続く中、熱中症による搬送件数も増えていると説明しました。

そのうえで賀来座長は「きょう、ことし初めて、東京都に熱中症警戒アラートが出されるなど熱中症のリスクが非常に高まっている。暑さを避け、こまめに水分を補給するなど熱中症対策を十分に行ってもらいたい」と述べました。

さらに、賀来座長は、熱中症を避けるために屋外では人との距離が確保できている場合や会話をしない場合などはマスクを外し、感染対策と熱中症対策の両立をはかるよう呼びかけました。

再拡大の要因 “暑さや変異ウイルスなど”

東京都内の新型コロナウイルスの感染状況を分析した、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、再拡大の要因を4つ指摘しました。

▼1つ目は「暑さ」です。
部屋を閉めきって冷房をかけることで、換気が悪いところにいる機会が増えている点です。

▼2つ目は人出の増加です。
人の移動が活発になっていることから、接触機会が大幅に増えているのではないかとしています。

▼3つ目は、感染やワクチン接種から時間がたち、免疫の効果が下がっている人が増えているとみられる点です。

▼4つ目は変異ウイルスです。
オミクロン株のうち、感染力がより高いとされる「BA.5」のウイルスに置き換わりが進んでいるとみられる点です。

「急速なスピードで拡大の可能性ある」

大曲センター長は、前の週と比較した新規陽性者の7日間平均が、2週連続で増加し、増加比も高くなっているとして「今後、急速なスピードで拡大する可能性は十分ある」と指摘し、警戒を呼びかけました。