G20議長国 インドネシア大統領 ゼレンスキー大統領と会談

G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領は29日、ウクライナを訪問しゼレンスキー大統領と会談しました。G20首脳会議への招待を受けたゼレンスキー大統領は、どう対応するかはほかの出席者によるとしてロシアのプーチン大統領が出席するとしていることに反発しました。

インドネシアのジョコ大統領は29日、ロシアによる軍事侵攻後アジアの首脳としては初めてウクライナの首都キーウに入り、ゼレンスキー大統領と会談しました。

会談後の共同会見でジョコ大統領は平和的解決が重要だとしたうえで、ことし11月にインドネシアで開かれる予定のG20の首脳会議にゼレンスキー大統領を改めて招待したことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領 “プーチン大統領出席”に反発

これに対してゼレンスキー大統領は「平和の回復にはG20との連携が極めて重要だ」とする一方で、どう対応するかはほかの出席者によるとしてロシアのプーチン大統領が出席するとしていることに反発しました。

ジョコ大統領は30日にはロシアの首都モスクワを訪問しプーチン大統領とも会談する予定で「ゼレンスキー大統領からのメッセージをプーチン大統領に伝えたい」としています。

G20のメンバー国の間ではロシアの出席を巡って意見が割れていて、議長国のインドネシアは難しい調整を迫られるとみられます。

専門家は

インドネシアのジョコ大統領がウクライナとロシアを訪問するねらいについて、外交問題に詳しいインドネシア大学のヒクマハント・ジュワナ教授は「インドネシアや発展途上国は戦争によって食料のサプライチェーンが混乱し、深刻な影響を受けている。インドネシアの大統領はこうした国々を代表するリーダーの1人として重要な役割を果たす必要がある」と述べ、食料危機に対応するために新興国や発展途上国を代表して働きかける意向があると指摘しました。

ジョコ大統領は今月26日、一連の外遊に出発するに当たり「一刻も早く停戦を実行し戦争を止めるために、プーチン大統領には対話の場を設けるよう呼びかけるつもりだ」と述べていました。

これについてジュワナ教授は「インドネシアは開かれた外交を進め、アメリカが行っているロシアへの経済制裁に追従せず、ロシアとウクライナの間でバランスを取ってきた。この点でプーチン大統領もジョコ大統領との議論を受け入れるのではないか」と指摘し、インドネシアが取ってきた中立的な立場がプーチン大統領の判断に影響を与えることに期待を示しました。

そのうえで「もし今回の訪問で停戦への働きかけが成功しなかったとしても、ジョコ大統領には11月のG20首脳会議でウクライナ情勢について話し合う場を設ける選択肢もある」と述べました。

そしてG20の首脳会議にプーチン大統領が出席する意向を示し、ゼレンスキー大統領も招待されていることから、これに合わせて停戦協議が行われる可能性に言及しました。