ロシア軍 ウクライナの東部など広範囲で攻撃強める

NATO=北大西洋条約機構が首脳会議を開きロシアへの対応について議論を深める中、ロシア軍はウクライナの東部に加え南部や中部など広範囲にわたって攻撃を強めています。一方、ロシアのプーチン大統領は外交攻勢も強めていて欧米側をけん制する思惑があるとみられます。

ロシア軍は完全掌握を目指している東部ルハンシク州のウクライナ側の拠点、リシチャンシクへの攻撃を続けています。

さらにロシア国防省は29日、ロシア空軍が東部のドネツク州やハルキウ州、南部のミコライウ州などでウクライナ軍の指揮所や武器庫への攻撃を行ったと発表しました。

ウクライナの非常事態庁によりますと、南部のミコライウ市では29日朝、5階建ての集合住宅にミサイル攻撃があり、これまでに4人が死亡し、2人がけがをしたということです。

27日には中部ポルタワ州のクレメンチュクにあるショッピングセンターが攻撃を受けるなど、ロシア軍はこのところ東部に加え南部や中部など広範囲にわたって攻撃を強めています。

一方、ウクライナ軍の動きについてアメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日「ウクライナ軍は近くリシチャンシクを含めルハンシク州から引きあげる可能性が高い」と分析し、ウクライナ側は部隊をより防御しやすい場所に移動させることでロシア軍の部隊を消耗させようとしているという見方を示しました。

プーチン大統領 外交攻勢強める 欧米側をけん制か

こうした中、ロシアのプーチン大統領は29日、中央アジアのトルクメニスタンを訪れて天然資源が豊富なカスピ海沿岸の5か国の首脳会議に出席し、資源開発や輸送ルートの整備などで協力を深めたい考えを示しました。

欧米を中心にロシア産の天然資源に依存しない「脱ロシア化」の動きがみられる中、プーチン大統領としてはエネルギー分野でのロシアの存在感を示すねらいもあるとみられます。

プーチン大統領は30日には首都モスクワでG20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領と会談する予定です。

NATOが首脳会議を開いてNATOの拡大やロシアへの対応について議論を深める中、プーチン大統領としては外交攻勢も強めていて欧米側をけん制する思惑があるとみられます。