英国防省 ロシア軍 今後も市民巻き添えのミサイル攻撃の可能性

ロシア軍がウクライナのショッピングセンターを攻撃し、多くの市民が犠牲になる中、イギリス国防省は、ロシア軍が今後も市民を巻き添えにしたミサイル攻撃を続ける可能性があると指摘しています。
一方、プーチン大統領は、ロシアが勢力圏と見なす旧ソビエト諸国や中東イランの首脳たちと会談する予定で、NATO=北大西洋条約機構の首脳会議を開く欧米側をけん制したい思惑があるとみられます。

ウクライナ各地ではロシア軍によるミサイル攻撃が激化していて、中部ポルタワ州のクレメンチュクでは27日、ショッピングセンターがロシア軍から攻撃を受けました。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官によりますと、少なくとも20人の死亡が確認され、59人がけがをしたほか、行方不明者の情報も40件以上寄せられているということです。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ロシアはミサイルを意図的に命中させた。平和な街のショッピングセンターで、できるだけ多くの人を殺害したかったのだ」とロシアを厳しく非難しました。

一方、ロシア国防省は、武器や弾薬が保管された倉庫を攻撃した結果、弾薬が爆発し、隣接するショッピングセンターで火災が発生したと主張しています。

この攻撃についてイギリス国防省は、29日に発表した分析で、「ショッピングセンター近くのインフラ施設を目標にした可能性がある」と指摘しました。

そして、ことし4月にもロシア軍が東部ドネツク州で鉄道の駅を攻撃し、多くの市民が犠牲になったことを挙げて「ロシア軍の長距離ミサイルは正確性に欠けているが、市民を大規模に巻き添えにすることも気にせず攻撃計画を立案している可能性が高い」と懸念を示しています。

一方、ロシア軍は、完全掌握を目指す東部ルハンシク州でも、ウクライナ側の拠点となっているリシチャンシクに向けて部隊を進め攻撃を続けています。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は28日、「ウクライナ軍は近く、リシチャンシクを含めルハンシク州から引き上げる可能性が高い」と分析し、ウクライナ側が戦術的に部隊を撤退させて、より防御しやすい場所に移動することで、ロシア軍の部隊を消耗させようとしているという見方を示しました。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は、軍事侵攻後初めてとなる外国訪問を行っていて、29日からはトルクメニスタンを訪れて、石油や天然ガスが豊富なカスピ海沿岸のイランやアゼルバイジャンなど5か国の首脳が参加する会議に出席します。

29日からスペインでNATO=北大西洋条約機構の首脳会議が開かれ、北欧2か国のNATOへの加盟などをめぐり協議が行われるのに対し、プーチン大統領としては、ロシアが勢力圏と見なす旧ソビエト諸国や、中東のイランとの結束を強調し欧米側をけん制したい思惑があるとみられます。