【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

NATO首脳会議 スペインで開催

NATO=北大西洋条約機構の首脳会議は日本時間の29日夜にスペインで始まりました。
ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、NATOのストルテンベルグ事務総長は「より危険で競争が激しくなる世界においてNATOを強化するための重要な決定を行う場となる」と述べ、会議の意義を強調しました。

プーチン大統領 トルクメニスタン訪問し5か国首脳会議に出席へ

ロシアのプーチン大統領は、軍事侵攻後初めてとなる外国訪問を行っていて、29日からはトルクメニスタンを訪れて、石油や天然ガスが豊富なカスピ海沿岸のイランやアゼルバイジャンなど5か国の首脳が参加する会議に出席します。
29日からスペインでNATO=北大西洋条約機構の首脳会議が開かれ、北欧2か国のNATOへの加盟などをめぐり協議が行われるのに対し、プーチン大統領としては、ロシアが勢力圏と見なす旧ソビエト諸国や、中東のイランとの結束を強調し欧米側をけん制したい思惑があるとみられます。

英国防省「ショッピングセンター近くのインフラ施設目標か」

ショッピングセンターへの攻撃について、イギリス国防省は29日に発表した分析で「ショッピングセンター近くのインフラ施設を目標にした可能性がある」と指摘しました。
そして、ことし4月にもロシア軍が東部ドネツク州で鉄道の駅を攻撃し、多くの市民が犠牲になったことをあげて「ロシア軍の長距離ミサイルは正確性に欠けているが、市民を大規模に巻き添えにすることも気にせず攻撃計画を立案している可能性が高い」と懸念を示しています。

ゼレンスキー大統領 破片が吹き飛ぶ映像を公開

ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、新たな動画を公開し「クレメンチュクのショッピングセンターへのミサイル攻撃について、欺くことがないよう1つの証拠をあげたい」と述べたうえで、同じ動画の中でミサイルのような物体が着弾して爆発し、広い範囲に破片が吹き飛ぶ様子をとらえた映像を公開しました。
場所などについての詳しい情報はありませんが、ゼレンスキー大統領は「クレメンチュクで起きたことだ」としたうえで「ロシアはミサイルを意図的に命中させた。平和な街のショッピングセンターで、できるだけ多くの人を殺害したかったのだ」と述べました。
そして「この国家テロは、ほかのすべての行為と同様に、ロシアが責任を負うことになるだろう」と述べ、ロシアを厳しく非難しました。

ロイター通信 ショッピングセンター近くの公園の映像を配信

ロイター通信は27日にミサイル攻撃を受けたクレメンチュクにあるショッピングセンターの近くの公園の映像を配信しました。
それによりますと、公園の芝生や池などに、空から大きな破片が落ちてくる様子が確認できます。別の角度の映像では、ジョギングをしていた人が転倒し、その直後に池に飛び込む様子も確認できます。

攻撃受けたショッピングセンター 人工衛星から撮影

ミサイル攻撃を受けた中部ポルタワ州クレメンチュクのショッピングセンターを攻撃のあった翌日の28日に人工衛星から撮影した画像です。
横幅と奥行きがそれぞれ100メートルほどある大型のショッピングセンターですが、攻撃前の画像と比べると屋根の大部分が黒く焦げているほか、一部は大きく崩落しているのがわかります。周辺には壊れた建物の一部が飛び散っている様子もうかがえます。
また、ショッピングセンターの周囲には建物が建ち並んでいますが、画像からはショッピングセンター以外に目立った被害は確認できません。
この攻撃をめぐっては、ロシア側は「ショッピングセンターをねらった攻撃ではない」とする一方、ウクライナ側は「誤爆ではなく、計算された攻撃だ」としてロシア側を強く非難しています。

北欧2国のNATO加盟 トルコが支持へ 両国の加盟に向け前進

ロシアによるウクライナへの侵攻を受けて、軍事的な中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンは先月、NATOへの加盟を申請しましたが、加盟国のトルコは、トルコがテロ組織に指定しているクルド人武装組織を両国が支援しているなどと主張し、加盟に難色を示してきました。
これについて、スペインのマドリードで開かれるNATOの首脳会議を前に、28日、フィンランドのニーニスト大統領とスウェーデンのアンデション首相、トルコのエルドアン大統領、それにNATOのストルテンベルグ事務総長が協議を行いました。
そして、協議のあと記者会見したストルテンベルグ事務総長は、トルコが両国の加盟について支持に転じ、両国がNATO加盟に向けて大きく前進したと発表しました。
29日からの首脳会議で両国の加盟交渉を正式に始めることを決めるとしています。

米バイデン大統領 ツイッターで歓迎の意を示す

アメリカのバイデン大統領はツイッターに「NATOがフィンランドとスウェーデンを迎えるための重要な一歩だ。両国の加盟はわれわれの同盟を強化するものになる」と投稿し歓迎の意を示しました。

プーチン大統領 軍事侵攻以降で初の外国訪問 タジキスタン訪れる

ロシアのプーチン大統領は28日、ウクライナへの軍事侵攻以降初めてとなる外国訪問として、中央アジアのタジキスタンを訪れました。
ラフモン大統領との首脳会談の冒頭、プーチン大統領は「われわれの関係は深い信頼に基づいており、あらゆる分野で積極的に協力している」と述べ結束を強調しました。

ロシア国防省 “ショッピングセンターへの攻撃ではない”

ロシア国防省は28日、欧米側からウクライナに送られた武器や弾薬が保管された倉庫を攻撃した結果、弾薬が爆発し、隣接するショッピングセンターで火災が発生したと説明し、ロシア大統領府のペスコフ報道官も「ウクライナ側が言うようなショッピングセンターへの攻撃ではない」としています。

ショッピングセンターへの攻撃 “少なくとも20人死亡”

ウクライナ各地ではロシア軍によるミサイル攻撃が激化していて、ウクライナ中部のポルタワ州では27日、クレメンチュクにあるショッピングセンターがロシア軍から攻撃を受けました。
ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官によりますと、これまでに少なくとも20人の死亡が確認されたほか、59人がけがをしているということです。
また、行方不明者の情報も40件以上寄せられているということで、救助活動が続けられています。

親ロシア派勢力の幹部 ヘルソン市長が拘束されたと主張

ロシア軍が掌握したとするウクライナ南部ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部は28日、SNSへの投稿でヘルソン市のイーホル・コリハイエフ市長が拘束されたと主張しました。
コリハイエフ市長の顧問もSNSに「けさ、コリハイエフ氏が車から降りたとたん、ロシアのFSBと見られる者たちに拘束され、『Z』という文字が書かれたバスに乗せられて連行された。その理由は市長がロシア側への協力を拒んだことであるのは間違いない」と投稿しました。
投稿によりますと、コリハイエフ市長は数日前、ロシア側が一方的に任命した別の市長から協議に応じるよう求められ、拒否した場合は逮捕すると脅されていましたが、この要求に応じなかったということです。
ロシア側はことし4月にコリハイエフ市長を解任したと一方的に主張しています。

米バイデン政権 99の団体や個人に資産凍結措置

アメリカのバイデン政権は28日、ロシアに対する追加の制裁措置として、G7の各国の首脳が表明した金の輸入禁止のほか、99の団体や個人に対して資産凍結の措置をとると発表しました。
資産凍結の対象には、ロシアによるウクライナへの侵攻に使われている武器や軍用機を生産する企業などが含まれていて、イエレン財務長官は声明で「われわれはロシアに厳しい制裁を科すという同盟国などとの約束を改めて確認した。ロシアの重要な軍事技術へのアクセスをさらに遮断する」と強調しました。