ロシア軍 ミサイル攻撃でG7けん制 プーチン大統領 外国訪問へ

ロシア軍は、ウクライナの首都キーウなど各地にミサイル攻撃を繰り返し、ウクライナへの軍事支援について話し合われているG7サミット=主要7か国首脳会議へのけん制を強めています。さらにプーチン大統領は、28日から軍事侵攻後初めてとなる外国訪問を行う予定で、旧ソビエトの友好国との結束を確認し欧米に対抗したい狙いとみられます。

ロシア国防省は27日、ウクライナ東部ルハンシク州で州内最後の拠点とされるリシチャンシクの周辺を攻撃したほか、東部のドネツク州やハルキウ州それに南部のミコライウ州でもミサイル攻撃を行ったと発表しました。

また、26日には首都キーウの兵器の工場を攻撃したと発表したほかウクライナ政府によりますと、27日には中部のポルタワ州でもショッピングセンターが攻撃され、民間人の犠牲者が出ています。

キーウなどに対する攻撃についてウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは国際的な行事があるたびに攻撃をエスカレートさせている」と述べ、ウクライナへの軍事支援について話し合われているG7サミットに対して、ロシアがけん制を強めていると非難しました。

プーチン大統領 軍事侵攻開始以来の外国訪問へ

プーチン大統領は、G7サミットへの対抗とも受け取れる動きを見せています。
28日には、ロシアとともにBRICS=新興5か国と呼ばれるブラジルのボルソナロ大統領と電話で会談しました。

ロシア大統領府によりますと、会談の主要な議題のひとつは食料安全保障で、プーチン大統領は、欧米の制裁が、食料や肥料の円滑な供給を妨げていると批判した上で、ロシアは農業大国のブラジルに途切れなく肥料を供給すると強調したということです。

さらにプーチン大統領は、ことし2月に軍事侵攻を始めて以来初めてとなる外国訪問を行う予定で、28日には中央アジアのタジキスタンで首脳会談に臨みます。

続く29日には、石油や天然ガスが豊富なカスピ海沿岸のトルクメニスタンを訪れ、イランやアゼルバイジャンなど沿岸5か国の首脳会議に出席し、ロシアが勢力圏と見なす旧ソビエトの友好国や、中東のイランとの結束を確認したい思惑とみられます。

また30日には、G20=主要20か国の議長国を務めるインドネシアのジョコ大統領とモスクワで会談する予定で、ロシア大統領府は、ことし11月のG20首脳会議にプーチン大統領が対面で出席する意向を27日に明らかにしました。

現在、ドイツで開かれているG7サミットの閉幕後、29日からはスペインでNATO=北大西洋条約機構の首脳会議が始まることから、プーチン大統領としては、外交攻勢に乗り出すことで、友好国との結束を確認し、欧米に対抗したい狙いがあるとみられます。