G7 岸田首相 ロシア念頭に“再生可能エネルギー拡大を”

G7サミットに出席している岸田総理大臣は、気候変動やエネルギー問題がテーマの会合で、ロシアを念頭に、特定の国へのエネルギーの依存度を下げるためにも、再生可能エネルギーの拡大などが重要だと訴えました。

ドイツ南部のエルマウで開かれているG7サミット=主要7か国首脳会議は2日目を迎え、岸田総理大臣は、日本時間の午後7時半ごろから気候変動やエネルギー問題などを議論する会合に出席しました。

今回のG7サミットでは、温室効果ガスの排出削減ゼロを目指す「脱炭素」とともに、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、ロシア産エネルギーへの依存度をどう引き下げるかという「脱ロシア」も主要な議題となっています。

岸田総理大臣は「ロシアのウクライナ侵略は、各国のエネルギー安全保障をめぐる環境を一変させた。今後の気候変動対策では、カーボンニュートラルの実現とエネルギー安全保障の強化に同時に取り組むことが重要だ」と指摘しました。

そのうえでロシアを念頭に「特定の国にエネルギーを依存した環境を回避するためにも、あらゆる手段を活用すべきだ」と述べ、再生可能エネルギーの拡大や、石油・天然ガスの産出国への増産の働きかけの強化などが重要だと訴えました。

また、アジアの脱炭素化に向けてみずからが提唱する「アジア・ゼロエミッション共同体構想」を説明し、脱炭素化に貢献したいという考えを示しました。

EU ミシェル大統領と会談

これに先立ち、岸田総理大臣は、EU=ヨーロッパ連合のミシェル大統領と会談し、広島で開催される来年のG7サミットの成功に向け協力していくことで一致しました。

会談は日本時間の午後4時からおよそ30分間行われました。

この中で岸田総理大臣は、ミシェル大統領が先月日本を訪問した際、広島市の原爆資料館などを訪れたことに謝意を示しました。

これに対し、ミシェル大統領は「強い感銘を受けた」と述べ、両首脳は、来年広島で開催されるG7サミットの成功に向け協力していくことで一致しました。

また、ヨーロッパとインド太平洋の安全保障は不可分であり、法の支配に基づく国際秩序を守り抜くとして、ウクライナ情勢への対応や、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた緊密な連携を確認しました。

さらに会談では、インド太平洋地域の情勢をめぐっても意見が交わされ、中国を念頭に、力による一方的な現状変更の試みを認められないという認識で一致したほか、北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題についても連携していくことを確認しました。

AU=アフリカ連合の議長国 セネガルの大統領とも会談

このほか岸田総理大臣は、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領と会談し、世界的な食料危機はロシアが引き起こしたものだと指摘し、アフリカ諸国への食料支援を行っていく考えを伝えました。

セネガルのサル大統領は、AUの議長国として、G7サミットに招待されていて、岸田総理大臣との会談は、日本時間の27日夜、およそ30分間行われました。

会談で岸田総理大臣は、世界的な食料危機について、軍事侵攻を続けるロシアがウクライナの農業に打撃を与え、穀物の輸出を妨げていることによるものだと指摘しました。

そのうえで、アフリカ諸国に食料支援を行っていく考えを伝えました。

これに対し、サル大統領は「戦争を早期に終わらせるべくロシアとウクライナや欧米諸国との対話を求めることが重要だ。また、貧困国の多いアフリカへの悪影響にも対処していく必要がある」とこたえました。

また岸田総理大臣は、8月にチュニジアで開かれる、TICAD=アフリカ開発会議について「アフリカ開発の針路を示す機会にしたい」と述べ、両首脳は会議の成功に向けて協力することで一致しました。

このほか会談では、安保理改革を含めた国連の機能強化や、北朝鮮の核・ミサイル開発、それに拉致問題などについても連携していくことが確認されました。

このあと岸田総理大臣は、南アフリカのラマポーザ大統領とも会談し、食料危機はロシアの軍事侵攻によるものだと重ねて指摘し、食料支援を行う考えを伝えました。