NATO事務総長 ロシアを「最も重大で直接的脅威」と位置づけへ

NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長は、今月29日から行われる首脳会議で、今後10年はロシアを「直接的な脅威」と位置づけ、不測の事態に対応するNATOの部隊を現在の4万人から30万人規模へと大幅に増強することなどで合意するという見通しを明らかにしました。

即応部隊を30万人規模に大幅に増強へ

NATOは今月29日から2日間、スペインの首都マドリードで首脳会議を開きます。

これを前にストルテンベルグ事務総長は27日、ベルギーの本部で記者会見し「首脳会議では多くの重要な決定が行われNATOは変革するだろう」と述べました。

具体的には、首脳会議で採択される予定の、今後およそ10年のNATOの活動指針などを定めた「戦略概念」で、ロシアの位置づけをこれまでの「戦略的パートナー」から「最も重大で直接的な脅威」へと変更する見通しだということです。

そしてストルテンベルグ事務総長は、不測の事態にすみやかに対応するNATOの即応部隊を現在の4万人から30万人規模へと大幅に増強することで合意するという見通しを明らかにしました。

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナについては、ウクライナ軍の装備を旧ソビエト時代のものからNATO加盟国が使用しているものへと移行できるよう長期的に支援するとしています。

またストルテンベルグ事務総長によりますと、北欧のフィンランドとスウェーデンの加盟申請を巡って、これに難色を示しているトルコも含めて3か国の首脳に呼びかけて28日にマドリードで会談するということです。

一方、中国について、NATOの安全保障や利益、価値観に課題をもたらす存在として新たな「戦略概念」で初めて言及される見通しも明らかにしました。

首脳会議には、岸田総理大臣やオーストラリアのアルバニージー首相など、アジア太平洋の4か国の首脳が初めて参加する予定で、ストルテンベルグ事務総長は「NATOの最も近いパートナーとの協力関係も深めていく」と強調しました。