セベロドネツク ロシア支配に ゼレンスキー大統領 奪還に全力

激しい攻防が続いてきたウクライナ東部ルハンシク州のセベロドネツクの市長は、街が完全にロシア軍の支配下に置かれたことを認め、ロシア国防省も街を掌握したと発表しました。ウクライナ側は隣接する都市に拠点を移して部隊を再編成する構えで、ゼレンスキー大統領は、セベロドネツクを含む各都市の奪還に向けて全力を尽くす姿勢を強調しました。

ウクライナ東部では、ルハンシク州の完全掌握を目指すロシア軍が、ウクライナ側が拠点とするセベロドネツクと、川を挟んで隣接するリシチャンシクに対して、3か月以上にわたり攻勢を強めてきました。

こうした中、セベロドネツクのストリュク市長は25日「街は完全にロシア軍の支配下に置かれた」とウクライナ軍が撤退したことを認めたほか、ロシア国防省のコナシェンコフ報道官も、セベロドネツクを完全に掌握したと発表しました。

ウクライナ国防省の情報機関のトップは「現状では戦線を維持するのは不可能だ。軍は高台に撤退し、そこで防衛作戦を継続する」と述べ、セベロドネツクと川を挟んで隣接するリシチャンシクで、部隊を再編成していることを明らかにしました。

一方、ロシア側は、リシチャンシクに南方から部隊を進め、25日には市街戦が始まったと主張していて、攻防の激化が予想されます。

ウクライナのゼレンスキー大統領は25日、新たな動画を公開し「すべての都市を取り戻す」と述べ、セベロドネツクを含む各都市の奪還に向けて全力を尽くす姿勢を強調しました。

また、ウクライナ東部以外でも、北部や南部など広い範囲に半日で45発のミサイル攻撃を受けたと明らかにし、ロシアに対する制裁の強化や、さらなる軍事支援の必要性を重ねて訴えました。
これに関連して、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は25日、自身のSNSで、アメリカから供与された高機動ロケット砲システム=ハイマースが実戦に配備され、領土内に侵入した標的に攻撃が命中したと投稿しました。

ハイマースを使用したと見られる映像では、夜間に地上から発射されたロケット弾と見られるものが飛行していく様子が確認できます。

ウクライナとしては、欧米から供与された兵器を活用することで、ロシア軍に対して攻勢をかけたい構えです。