G7サミット開幕へ ロシアへの圧力強化 ウクライナ支援 議題に

G7サミット=主要7か国の首脳会議が26日、日本時間の今夜、ドイツで始まります。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が4か月を過ぎて長期化する中、ロシアに対する圧力の強化やウクライナへの今後の支援、侵攻を背景に世界的に懸念が高まる食料危機への対応が主要な議題となる見通しです。

G7サミットは26日、日本時間の今夜からドイツ南部バイエルン州のエルマウで岸田総理大臣も出席して3日間の日程で行われます。
会場はアルプス山脈のふもとに位置するホテルで、25日からは周辺への市民の立ち入りは制限され、幹線道路では大勢の警察官が警戒にあたるなど厳重な警備態勢が敷かれていました。
今回のサミットはロシアによるウクライナへの軍事侵攻が4か月を過ぎて長期化するなか行われ、26日の初日は世界経済や外交・安全保障政策をテーマに意見が交わされる予定です。
各国の首脳は侵攻を続けるロシアに対する圧力の強化や、ウクライナへの今後の支援、侵攻を背景に穀物の輸出が滞っていることで世界的に懸念が高まる食料危機への対応を巡っても協議する見通しで、G7として結束した対応を打ち出せるかが焦点です。

このほか、ロシアと足並みをそろえるかのようにインド太平洋地域で海洋進出の動きを強める中国についても議題になるとみられます。

専門家「宣言やシグナルだけでなく実行に重点を」

今回のG7サミットについて、ドイツ国際安全保障研究所のマウル上席研究員は「リベラルな民主主義のG7と連携を強めるロシアと中国との間で、地政学上の争いが起きている。こうした中でG7の連携を本当に効果的なものにしなければならない」と述べ、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアと海洋進出の動きを強める中国が連携する動きに、G7としてどう対応するかが焦点だと指摘しました。

また、ウクライナへの支援を巡っては「戦争は長引く可能性があるし、激化するかもしれない。G7がウクライナを長期的に助け、あるいは支援を強化することを保証することが非常に重要だ」と話しています。
マウル氏はこれまでのG7は合意した方針を一致して実行に移すことでは課題が残っていたと指摘し、「会議の重点は宣言やシグナルだけでなく実行に置かれるべきだ」と話しています。

さらに、世界的に食料危機への懸念が高まり物価も高騰していることをめぐり、「原因はロシアの侵略戦争だと明確にすることが重要だ。同時に、国際秩序を変更しようという権威主義者の挑戦に対処するためには、私たち自身にも代償が伴うというメッセージを出すことも必要だ」と述べ、G7の各国首脳は制裁を強化してロシアへの圧力を強めることが自国の経済にも影響を与えるものの、その必要性を国民に説明し理解を得ることが必要だとしています。

焦点はウクライナ支援の姿勢 どこまで打ち出せるか

G7サミット=主要7か国首脳会議はロシアによる軍事侵攻が4か月を過ぎたタイミングで行われます。

ウクライナではロシア軍が東部で攻勢を強めるとともに、南部では支配の既成事実化を進めるなど、戦闘の長期化が懸念されています。

ウクライナ情勢に対する世論の関心の低下が欧米メディアなどで伝えられる中、今回のサミットでは各国がロシアへの圧力の強化とウクライナを支え続ける姿勢をどこまで打ち出せるかが焦点です。

議長国ドイツのショルツ首相は今月、地元メディアのインタビューで、サミットの目標はウクライナに対する長期にわたる支援を確認することだと述べています。

軍事支援や財政支援をめぐっては各国から表明されながらも実際には届いていないものが多いという指摘も出ていて、ウクライナは必要な兵器の供与を迅速に進めてほしいと訴え続けています。

一方、サミットでは黒海に面するウクライナ南部の港が使えないため穀物の輸出が滞り、世界的に懸念される食料危機についても主要な議題となる見通しです。

ウクライナ産の穀物の輸送を巡り具体的な打開策が議論されるのかどうかも焦点です。

また、民主主義や法の支配といった価値観を共有するG7として、軍事侵攻を続けるロシアだけでなく、ロシアと足並みをそろえるかのようにして海洋進出の動きを強める中国を念頭にどこまで結束した姿勢をアピールできるのかも問われています。