米 小学校銃撃事件から1か月 連邦議会下院で銃規制の法案可決

アメリカ南部テキサス州の小学校で、21人が死亡した銃撃事件から1か月となった24日、連邦議会の下院は著しく危険と見なされる人物から一時的に銃を没収できるよう州政府を支援することなどを盛り込んだ銃規制の法案を可決しました。

5月24日、テキサス州ユバルディの小学校に18歳の男が押し入って銃を乱射し、児童19人を含む21人が死亡しました。男はその場で射殺されました。

現場の小学校には、犠牲者の名前が書かれた十字架が立てられて、24日も人々が祈りをささげ、訪れた人は「銃を販売する際の手続きを厳しくすべきです」と話していました。
事件を受けて、アメリカでは銃規制を求める声が高まり、連邦議会の下院は24日、著しく危険とみなされた人物から銃を没収できるように州政府を財政面で支援することなどを盛り込んだ銃規制強化の法案を可決しました。

バイデン大統領の署名をもって近く成立する見通しで、本格的な銃規制としては28年ぶりになるとして、地元のメディアは大きく伝えています。

ただアメリカでは前日の23日に連邦最高裁判所が、拳銃の携行を制限しているニューヨーク州の州法は銃を所持する権利を保障する憲法に違反しているという判断を示すなど、銃規制の在り方をめぐっては依然分断が続いています。

今回可決した銃規制の法案

今回可決した銃規制の法案には、「レッドフラッグ法」と呼ばれる銃規制の法律を各州で成立させるための支援を行うことも盛り込まれています。

「レッドフラッグ法」は、銃で脅そうとするなど著しく危険と見なされる人物から一時的に銃を没収できる法制度で、精神的に不安定だったり、自殺願望がみられたりする人にも適用されます。

没収は警察などからの申請に基づいて裁判所の判断で行われ、全米では19の州と首都ワシントンで導入されています。

南部フロリダ州では、2018年に高校生など17人が死亡する銃撃事件が起きたあと導入され、ことし4月までの4年間で一時的な没収はおよそ9000件に上っています。

このうち、州内でもっとも多くの没収を行ったポーク郡保安官事務所のグレイディ・ジャッド保安官は、「銃を使った事件を起こすと脅す人がいるなら、銃を持たせないようにするのは当然のことだ。銃撃事件をなくそうとするなら、司法当局が介入できる必要がある」と話しています。
「レッドフラッグ法」の効果について、カリフォルニア州立大学デービス校がおよそ200件の没収事例について調べたところ、30%のケースで対象者が銃撃事件を起こすと脅していたということで、ベロニカ・ペア助教は、「銃撃につながるリスクが高いケースで危険を取り除くことができたという点で非常に効果がある」と分析しています。
また、アメリカで最初に「レッドフラッグ法」を導入した東部コネティカット州の法案作成に関与したニューヘイブン大学のマイク・ローラー准教授は、「この法律の目的は、責任ある市民から銃を取り上げるのではなく、銃が持つべきではない人の手に渡るのを防ぐことだ」と述べ、アメリカの憲法で保障されている銃を所持する権利を尊重しながら銃規制を強化することは可能だと指摘しています。

テキサス州では教師に銃の携行認める

保守層が強いアメリカ南部テキサス州では、共和党のアボット知事が銃規制の強化に反対の立場で、学校の安全を守るためだとして、一定の訓練を受けた教師に銃の携行を認める「ガーディアン・プラン」と呼ばれる政策を進めています。

州の委託を受けて訓練を実施している施設によると、5月24日にテキサス州ユバルディの小学校で銃撃事件が発生して以降、受講者は増えているということです。

「ガーディアン・プラン」を導入している学校は、校舎の入り口に「学校は武装した職員によって守られている」と表示しています。

ただ、どの教師が銃を持ち歩いているのかなどについては、安全管理上の理由から児童や保護者には伝えていないということです。

また銃を持った不審者が入ってきた時には、ボタン1つですべての校舎のドアをロックできる設備を導入するなど、銃犯罪は起こりうるという前提で安全対策をとっています。

教師に銃を携行させるべきという考えは、トランプ前大統領も先月、テキサス州で開かれた銃規制に反対するロビー団体「全米ライフル協会」の年次総会で示しています。