ロシア セベロドネツク掌握の見通しも一進一退の攻防続くか

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは東部で攻勢を強めていて、ウクライナ側が拠点としている東部ルハンシク州のセベロドネツクを掌握する見通しが強まっています。
これに対して、ウクライナ側は欧米から供与された兵器で攻勢に転じる構えで、戦闘の終結に向けた道筋は見えていません。

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めてから24日で4か月がたち、ロシア軍は、東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指してウクライナ側が拠点とするセベロドネツクへの攻撃を続けています。

ルハンシク州のハイダイ知事は24日、地元メディアに対して「残念ながら、ウクライナ軍はセベロドネツクから撤退せざるをえない」と述べ、防衛にあたってきた部隊が別の拠点に移動することを明らかにしました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は23日、ルハンシク州のセベロドネツクなどをめぐる攻防でロシア軍の優位を認めつつも「ウクライナ軍はロシア軍の侵攻を遅らせ、部隊に打撃を与えるという基本的な目標を達成している」と分析しています。

そのうえで「ロシア軍の攻撃は今後数週間停滞し、ウクライナ軍に反撃の機会を与える可能性が高い。セベロドネツクを失うことはウクライナにとって損失だが、この戦いはロシアの決定的な勝利にはならないだろう」と指摘し、今後も一進一退の攻防が続くという見通しを示しました。

こうした中、ウクライナのレズニコフ国防相は23日、射程が長く、精密な攻撃が可能な高機動ロケット砲システム=ハイマースがアメリカから届いたことを明らかにし、欧米の軍事支援を弾みに攻勢に転じる構えを示しました。

ロシア外相 “EUとNATO ロシアと戦争するため連合を結成”

こうした動きに対し、ロシアのラブロフ外相は24日「EUとNATOがロシアと戦争を行うために現代の連合を結成している。われわれは非常に注意深く見ていく」と述べて欧米を強くけん制しています。

ウクライナ非常事態庁 地雷除去に少なくとも10年

一方、ウクライナの非常事態庁の報道官は24日、ウクライナ国内のすべての地雷を除去するのに、少なくとも10年はかかるという見通しを明らかにしました。

そのうえで「戦闘が続いている地域の状況がわからないため、あくまでも楽観的な推定だ」と述べ、さらに時間がかかる可能性も示唆していて、戦闘の終結に向けた道筋が見えないなか、今後の影響も懸念されます。

ロシア大統領「食料危機は欧米の責任」

ロシアのプーチン大統領は24日、BRICS・新興5か国に加え、アジアや中東、アフリカなどの首脳も参加する拡大会合にオンラインで参加し、演説を行いました。

この中でプーチン大統領は、各国で食料やエネルギーなどの価格が急激に高騰していることについて、「ロシアやベラルーシの肥料の供給を制限したり、ロシアの穀物の世界市場への輸出を困難にしたりしている」と述べ、アジアやアフリカなどの発展に深刻な影響を及ぼしていると批判しました。
そのうえで、ロシアがウクライナ南部の港を封鎖して穀物が輸出できないと各国から批判を受けていることについて、「ウクライナ軍が港の機雷を除去すれば穀物を積んだ船舶の自由な航行を保障する用意がある。ウクライナ側からの建設的な姿勢が足りない」と主張しました。

プーチン大統領は、世界的な食料などの価格高騰について、「これはロシアによる特別軍事作戦の結果ではない。G7=主要7か国による無責任なマクロ経済政策の結果だ」とも強調し、あくまで責任は欧米側にあると主張しました。