自動車部品大手マレリ ADR同意得られず 民事再生法適用を申請

かつて日産自動車の子会社だった自動車部品大手「マレリホールディングス」は24日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。新型コロナの影響で経営が悪化したため、事業を続けながら再建を目指す国の制度にもとづいて、金融機関などと再生計画を協議していましたが、一部から同意を得られず、法的整理の手続きに移行することになりました。

前身が日産自動車の子会社の「カルソニックカンセイ」で、マフラーなどの生産が主力の「マレリホールディングス」は、新型コロナの影響で経営が悪化したため、事業を続けながら再建を目指す「事業再生ADR」と呼ばれる制度の利用をことし3月に申請しました。

3000人規模で人員を削減し、取引先の金融機関には4000億円を超える債権放棄を求めるなどとした再生計画案をまとめ、協議を進めてきましたが、24日の債権者集会で一部の金融機関から同意を得られませんでした。

このため会社は、事業再生ADRにもとづいて再建を進めることを断念し、24日東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請しました。

関係者によりますと負債総額は1兆円を超えるとみられます。

会社は、これまでどおり事業を続けながら、民事再生法の中でもより短期間で再生計画の認可を受けられる可能性がある「簡易再生」と呼ばれる手続きを裁判所に申し立て、再生計画案の認可を目指す方針です。

「簡易再生」手続きとは

「事業再生ADR」は私的整理の一つで、第三者機関が選んだ弁護士や公認会計士が、企業と金融機関などの債権者との間で調整を行うのに対し、「簡易再生」の手続きは、民事再生法に基づく法的整理で、裁判所の管理のもとで再建に向けた手続きを行うことになります。

再生計画案に債権者の5分の3以上の合意がある場合に、「簡易再生」の手続きを選ぶことができます。

「簡易再生」の手続きでは、事業再生ADRで協議された再生計画が裁判所に考慮されるほか、誰にどのくらい債権があるのかを調べる「債権調査」を省略することができます。

これによって、一般的な手続きよりも短期間で裁判所から再生計画の認可を受ける可能性が高まるとされています。