核禁止条約 締約国会議 “新しい常識作られる可能性”と評価

「核なき世界」の実現を目指す「ウィーン宣言」などを採択して閉幕した、核兵器禁止条約の初めての締約国会議について、世界の核被害についての専門家は「これまでの議論で脇に置かれていた核による被害者が加わり、核兵器に関する新しい常識が作られる可能性が感じられた」と評価しました。

オーストリアの首都ウィーンで開かれていた、核兵器禁止条約の初めての締約国会議は「核なき世界」の実現を国際社会に呼びかける「ウィーン宣言」と、核廃絶に向けた具体的な取り組みをまとめた「ウィーン行動計画」を採択して閉幕しました。

これについて、世界の核被害の研究を続けている明星大学の竹峰誠一郎教授は「核兵器に関する議論で脇に置かれてきた核被害者が数多く参加し、核兵器に関する新しい常識が作られる可能性が開かれたことを感じることができた」と述べました。

また、今回採択された50項目からなる「ウィーン行動計画」について「核被害者の援助と国際協力についての項目が4分の1以上を占め、締約国が今後、具体的な行動を行う決意が示されている。核による被害を受けた地域と密接に連携することや、被害者の援助のための基金の創設に向けて議論を始めることも盛り込まれ、条約の内容が具体化していく道筋がはっきりと見えてきた」と評価しました。

一方、今回の会議に日本政府が参加しなかったことについて「ただ嘆くのではなく、私たちができることはたくさんある。多くの国や市民社会の支持を得て核廃絶に向けて、具体的に歩みが始まった、新しい現実が作られていることを認識し、行動に移していかないといけない」と指摘しました。

「行動計画」のポイント

核兵器禁止条約の初めての締約国会議で採択された「ウィーン行動計画」は、大きく6つの目標が掲げられ、合わせて50の具体的な行動計画が示されています。

ポイントは以下のとおりです。

(1)条約の締約国を増やす。

▽締約国ごとに60日以内に担当者を設置する。
▽核保有国とも対話を進め条約の目的や意義を共有し、条約への誤解や批判の解消を目指す。

(2)核兵器の廃絶を目指す。

▽権限を持つ国際機関の指定について議論を進める。
▽核保有国が管理する核兵器の廃棄の在り方について議論する。

(3)被害者支援と環境改善、国際協力を進める。

▽被爆者と核実験の被害者のいる締約国は救済に向けた法整備を進める。

(4)科学的な研究を継続する体制をつくる。

▽核兵器のリスクや人道的な影響などを分析する専門家グループを作る。

(5)核軍縮のほかの枠組みとの補完性を強化する。

▽NPT=核拡散防止条約との協力を進める「調整役」を任命する。
▽核の検証の分野などでIAEA=国際原子力機関などとの協力を強化する。

(6)そのほか条約を達成するために不可欠な項目。

▽国連や学会などとの連携や協力を進める。