「ステルシング」性暴力の一種だとして被害を訴える声

性行為の際に、同意がないのにコンドームを使用しないなどの「ステルシング」と呼ばれる行為について、性暴力の一種だとして被害を訴える声が相次いでいて、専門家は、対策の必要性を指摘しています。

「ステルシング」は性行為の最中にコンドームを同意なく外すなどの行為で、望まない妊娠のリスクや性感染症のおそれのほか大きな精神的ダメージを受けることがあります。

性被害に詳しい弁護士などによりますと、最近は、恋人どうしであっても性暴力の一種ととらえられるようになり、アメリカなどでは社会的な問題にもなっているということです。

都内に住む30代の女性は去年、40代の男性と親しい関係になりましたが、性行為中にコンドームを装着するよう求めたところ装着するふりをして実際にはつけていなかったことが分かったということです。
男性に対し「妊娠のリスクを考えてくれていない。信じていたのに失望した」と伝えましたが、十分な謝罪がないまま会う機会がなくなったということです。

女性は妊娠の不安などから睡眠不足になり、精神が不安定で仕事に集中できないといった影響が出たということです。

女性は「相手は、何が悪いのか理解しようとしない態度で、自分さえよければという身勝手な考えに憤っている。コンドームを途中で外されても女性側は気付きにくく、この問題を考えてほしい」と訴えていました。
こうした被害の訴えは海外だけでなく日本でも相次ぐようになっているということで、ステルシングの実態に詳しい上原幹男弁護士は「まさに性暴力の一種であり、相手に精神的な苦痛を与えた場合は、法的な責任を負う可能性もある。被害を生まない対策が必要だと考えている」と指摘しています。

相談に応じるNPO「被害 表面化しにくい」

若い世代の性の悩みの相談に応じている東京のNPO法人「ピルコン」には、年間およそ800件の相談が寄せられていますが、最近では「ステルシング」による被害の相談も目立つようになっているということです。
この中では「最近できた彼氏とコンドームをつけて性行為したが、途中で違和感に気付いて確認すると、コンドームが完全に外されていた。妊娠するかもしれず不安だ」などといった内容の相談があるということです。
「ピルコン」の染矢明日香理事長は、日本ではステルシングに関する詳しい実態はほとんど明らかになっていないとしたうえで「女性が被害に気付いたとしても、相手との関係の悪化をおそれて周囲への相談をためらい表面化しにくいのが現状だ」と話しています。

そのうえで「男性側としては、軽い気持ちでコンドームを外すというケースも多い。避妊に協力しないことは相手の尊厳を傷つける行為であることを社会全体で認識していくことが重要だ」と指摘しています。