コロナ専門家会合“感染者数 減少幅が鈍化 今後は増加も懸念”

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染者数は減少幅が鈍化しつつあるとしたうえで、ワクチン接種などで得られた免疫の効果が下がっていくことなどから、今後は感染者数の増加も懸念されると指摘しました。

専門家会合は、現在の感染状況について全国では減少傾向が続いているものの減少幅が鈍化しつつあり、横ばいや増加の兆しが見られる地域もあるとしています。

また、人口当たりの感染者数が全国で最も多い沖縄県でもここ数日、増加しているとして今後の感染の動きに注意が必要だとしています。

大都市部についての短期的な予測では急激な増加は見込まれていないものの、3回のワクチン接種やこれまでの感染によって得られた免疫の効果が徐々に下がっていくことや、来月以降は夏休みの影響もあって人との接触機会が増えること、それにオミクロン株の「BA.4」や「BA.5」などが国内でも検出されるなど、新たな系統に置き換わっていく可能性があることから今後、感染者数の増加も懸念されるとして医療体制への影響などを注視する必要があると指摘しました。

そのうえで、専門家会合はワクチンの3回目の接種をさらに進めるとともに、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。

また、医療や介護の現場では、施設の実情に合わせて無理のない感染対策を考えることが重要で、介護福祉施設では高齢者の重症化を予防するために、入所者への4回目のワクチン接種を進めるよう求めました。

1週間の新規感染者数 全国では減少傾向から横ばいに転じる

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、22日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.98倍と、これまでの減少傾向から横ばいに転じています。

首都圏の1都3県では▽東京都と埼玉県が1.09倍、▽神奈川県が1.12倍、▽千葉県が1.08倍と増加に転じました。

関西では▽大阪府が0.93倍、▽兵庫県が0.94倍、▽京都府が1.00倍とほぼ横ばいの傾向、東海では▽愛知県が0.95倍、▽岐阜県が0.69倍、▽三重県が1.04倍となっています。

また、▽北海道は0.82倍、▽宮城県は0.86倍、▽広島県は0.82倍、▽福岡県は0.99倍、▽人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県も0.98倍などと横ばいから緩やかな減少となっています。

一方、▽島根県は2.85倍、▽鳥取県は1.34倍、▽青森県と福島県は1.16倍などと、19の都県で前の週より増加しています。

一方、人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、▽沖縄県が567.23人と全国で最も多くなっています。

次いで▽熊本県が162.63人、▽鹿児島県が149.47人、▽佐賀県が131.12人、▽青森県が119.31人、そして▽大阪府が88.20人、▽東京都が86.04人、などとなっていて、▽全国では78.15人となっています。

脇田座長 “インフルエンザ 今後の動向を注視する必要ある”

厚生労働省の専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字 座長は、東京都内の小学校でインフルエンザによる学年閉鎖となり、おととし3月以来となる臨時休業が行われたことについて「南半球のオーストラリアでインフルエンザが増えているという報告もある。2年間、新型コロナの流行によってインフルエンザの流行がほぼない状況で、インフルエンザに対する免疫がコロナ以前と比べると落ちていることは十分に考えられるため、もし流行すると広がる可能性があるかもしれない。国内では通常冬にかけて流行し、まだその時期ではないが、今後の動向を注視する必要がある」と述べました。

また、政府が国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、アメリカのCDC=疾病対策センターの日本版を創設することを決めたことについて「こうした組織を立ち上げることなどを通じて、今後の感染症対策がより進むことが期待できるが、内容に関しては今後議論されていくものだと考えている」と述べました。