ロシア軍 ウクライナ東部で攻勢強めるも完全掌握には至らず

ロシア軍はウクライナ東部で攻勢を強めるものの、完全掌握には至らず、軍事侵攻の開始から4か月となるのを前に、ロシア軍の指揮をとっていたとされる総司令官が更迭されたという見方が、ロシアの専門家の間でも出ています。

ロシア軍は、ウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指してウクライナ側の拠点、セベロドネツクなどへの攻撃を続け、ロシア国防省は22日、ルハンシク州で弾薬庫などを破壊したと発表しました。

イギリス国防省は、ロシア軍が19日以降、セベロドネツクに隣接するリシチャンシクに向かって部隊を進めた可能性が高く、ウクライナ側は、包囲されないよう一部の部隊を撤退させたという分析を23日、示しました。

そして、ロシア軍は最近、部隊を強化して火力を集中させ、セベロドネツクなどの一帯に対して、圧力を強めていると指摘しました。

ロシア軍は、ウクライナ側が反転攻勢に乗り出していた東部ハルキウ州でも、ここ数日、砲撃を強め、ウクライナの公共放送が22日、伝えたところによりますと、8歳の女の子を含む15人が死亡したということです。

しかし、24日で侵攻開始から4か月がたちますが、ロシア軍は東部のいずれの州も全域を掌握はしていません。

ロシア軍 南部軍管区トップの総司令官を更迭か

こうした中、ロシア軍の動向に詳しい軍事評論家のワレリー・シリャエフ氏はNHKの取材に対して、ロシア軍の指揮をとっていたとされる、南部軍管区のトップ、ドボルニコフ氏が総司令官を更迭されたという見方を示しました。

シリャエフ氏は「ドボルニコフ氏に代わって、事実上、別の人物が指揮している。それはロシア軍の軍事政治総局長で、別の紛争に参加した経験がある 人物だ」と述べ、ロシア軍のゲンナジー・ジトコ軍事政治総局長の名前を挙げました。

侵攻したロシア軍の総司令官をめぐっては、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も21日、プーチン大統領が、ドボルニコフ氏からジトコ氏に交代させたとする見方を示しています。
そのうえで、「主要な戦闘の最中の司令官の交代は、ロシア軍の上層部の深刻な危機を物語っている」と指摘しています。