“戦車の前に人 すべり台にミサイル” 一コマ漫画で訴える平和

戦車が進む先に立ちはだかる人。
ミサイルの形をしたジッパーが閉じ、ウクライナの国旗がロシアの国旗に覆われていく。
ウクライナへの軍事侵攻を風刺する一コマ漫画です。

平和への願いを伝えたいと筆をとった漫画家たち。
皆さんは作品からどんなことを感じますか?

(大阪放送局 小野田真由美)

ウクライナへのロシアによる軍事侵攻から24日で4か月となります。
大阪・梅田では平和を願い描かれた一コマ漫画の展示会が開かれています。

戦車の前でヒッチハイクする男性。
手に持っているボードには「PEACE」と書かれています。

この作品を書いた漫画家の篠原ユキオさんです。

「武器は手にしないが、表現者として平和への願いを伝えたい」

一コマ漫画を集めた展示会を開きたいと仲間に声をかけると、国内外から48人が作品を寄せました。その数130点に上ります。
展示会を主催した漫画家 篠原ユキオさん
「朝テレビを付けてみたニュースをすぐ作品として表現できるのは一コマ漫画家の強み。今世界中のたくさんの漫画家に広がって、気持ちをつなげていってることが力強い」
瞳に映る、地球。赤く充血した部分で表現したのは、戦禍のウクライナから立ち上がる炎です。
ウクライナの作家が切り取った風景は、公園。
子どもたちが見上げる先、遊び慣れた滑り台にミサイルが現れます。
一コマ漫画に言葉はなく、一枚の絵に込められた物語を見た人がそれぞれの感性で読み解きます。

作品を見入っていた中学2年生に話を聞くと…
中学2年生の男子
「突然、大人の都合でいきなり今までの日常が壊されて。こういうのを見ると実際に生々しくて、自分たちももっと身近にとらえて、こういうことを考えなあかんなって」

父親
「ニュースを見てもふだん、それについては『どうや?』ってことはあまり話さないので、こういう場に来て改めて子どもがこんな風に考えているんだと親としても聞けて、すごくいい機会」
一コマ漫画とともに、平和への思いを拡散してほしい。
作品は誰でも自由に撮影することができます。

来場者
「ウクライナのことについてすごく胸を痛めていたので、一目見て分かる一コマ漫画がもっと世界中で広がってほしい」

絵の前後のストーリーを想像することで、見る人それぞれの感性で考えることができる一コマ漫画。

悲惨すぎてなかなか直視しにくい現実でも、一コマ漫画を通して目を向けるきっかけになればと考えています。

展示会を主催した漫画家 篠原ユキオさん
「波長が合うもの、なんのこっちゃ分からんというもの、もちろんあります。ただ共通していることは、一般の市民が苦しい思いをしているというのが現実にあって、それにたいする素直な気持ちを共有しましょう。“遠い日本から見つめていますよ”というメッセージがウクライナに届けば」
参加した海外の漫画家からは
「参加できて、光栄で誇り」「とても価値ある取り組み」
といったメッセージが。

ウクライナの漫画家からは
「日本の皆さんの連帯に心から感謝します」
という声が届いたそうです。

作品展は、大阪・梅田の商業施設「NU茶屋町プラス」で6月30日まで開かれていて、今後、全国各地で展示会を開きたいということです。

※作品展の期間が7月18日まで延長されました。(6月28日追記)

作品の一部を紹介します

皆さんは一コマ漫画から何を感じ、どんなことを考えますか?