ロシア軍 東部中心に攻撃継続 ウクライナ側は南部の奪還に意欲

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは完全掌握をねらうルハンシク州など、東部を中心に攻撃を続けています。一方ウクライナ側は、ロシア軍が掌握したとする南部ヘルソン州の奪還に強い意欲を示しています。

ロシア国防省は20日、完全掌握を目指して攻撃を続ける東部ルハンシク州とドネツク州で、ウクライナ軍の部隊や兵器などを攻撃したと発表しました。

このうち、ルハンシク州セベロドネツクの状況についてハイダイ知事は20日、SNSに投稿し、ロシア軍の攻撃により、ウクライナ軍が支配下に置いているのは「アゾト化学工場」がある区域に限られているとして、厳しい状況を伝えています。

また、ウクライナ軍の参謀本部は20日、東部ハルキウ州でも砲撃の回数が増えていると指摘しています。

州都ハルキウの南東の町に住む60歳の男性は19日、NHKの電話インタビューに応じ、町はロシア軍に支配され、周辺では戦闘が続いていると話しています。

人々はロシアの監視下に置かれ、移動も制限されていることから、避難することができないと訴えています。

一方、ロシア軍が掌握したとする南部ヘルソン州について、ウクライナのベレシチュク副首相は20日、「欧米からの兵器の供与が進めばウクライナ軍が反撃に出て、支配された地域を解放できる」と述べ、奪還に強い意欲を示しました。

そのうえで、ロシア軍がウクライナ軍の反撃を防ぐため、住民を盾にして避難を妨げるおそれがあると指摘し、まずはクリミア半島に避難して、戦闘の巻き添えにならないよう呼びかけました。

こうした中、ヘルソン州の現状について、ロシア側が解任したとするラフタ知事は20日、避難先からオンラインの会見を開き「ロシアは戦争が始まってから一度も人道回廊を設置していない。クリミアに向かうことはできるが、そのほかのウクライナ側への移動は完全にブロックされている」と述べ、人々は避難もままならないうえ、医薬品などの不足も深刻だと訴えました。