核兵器禁止条約 締約国会議前に「原爆小頭症」の女性が訴え

今週、核兵器禁止条約の初めての締約国会議が開かれるオーストリアの首都ウィーンと被爆地の広島、長崎をオンラインでつないだイベントが開かれ、「原爆小頭症」の女性が戦争がない世界の実現を訴えました。

イベントに広島から参加したのは、「原爆小頭症」の人やその支援者で作る「きのこ会」のメンバーなどで、3人の代表が順番に原爆ドームの前からウィーンとオンラインで結んでスピーチしました。

このうち、母親の胎内で被爆したことで脳の発育が妨げられて知能や体に障害がある「原爆小頭症」の川下ヒロエさん(76)は、自分でかいた原爆ドームの絵と詩の色紙を持ちながら「戦争は怖いので嫌です。戦争というものがこの世の中からなくなってほしいと思うんです。それを世界の人に聞いてほしいです」と訴えていました。

また、6歳のときに被爆した田中稔子さん(83)は、英語で「私は若い仲間とともに核兵器廃絶を訴え続けていきます。今回の締約国会議で新たな力を得て次なる展開を期待します」と決意を示しました。

イベントのあと「きのこ会」の長岡義夫会長は「少しでも世界の国の方たちに私たちの苦しみを理解してもらいたい」と話していました。

国際NGOの集会で被爆者が証言

19日オーストリアの首都ウィーンで、国際NGOのICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンが開いた集会には、被爆者や被爆地出身の若者などが参加しました。

3歳の時、広島で被爆した家島昌志さんは、戦後、両親から聞いた当時の様子について「爆風で家中のガラスが吹き飛び屋根がめくれて月が見える状態だった。母は体じゅうに窓ガラスの破片が刺さった」と話しました。

また、5歳の時に長崎で被爆した木戸季市さんは、「家族にみとられて亡くなったのはわずか4%で別れのことばを言うこともできないまま多くの人が亡くなった」と一瞬にして家族を引き裂いた原爆の悲惨さを語り各国から訪れた人たちに核兵器の廃絶を訴えました。

2人の証言は、広島で被爆した祖母を持つ被爆3世の瀬戸麻由さんなど、日本から訪れている若者がそれぞれ英語に通訳しました。

証言を聞いたインドから訪れた女性は、「被爆者と直接会って話を聞くのは初めてです。同じことを経験する人が出ないように早急に行動すべきだという気持ちになりました」と話していました。

サーロー節子さん 核廃絶を訴えるスピーチ

今週から始まる核兵器禁止条約の締約国会議に合わせてオーストリアの首都ウィーンでは条約の実現に貢献したICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンが主催するイベントなどが開かれていて、現地時間の18日、サーロー節子さんがカナダからオンラインで核廃絶を訴えるスピーチを行いました。

この中でサーローさんは、13歳の時に被爆した経験を語るとともに、核兵器禁止条約は核兵器の恐怖を終わらせるものだとして意義を強調しました。

そして「ロシアによるウクライナ侵攻の恐怖を利用し『核兵器によって守られている』と宣伝されることに恐ろしさを感じます。核戦争という破滅的なハリケーンによって地球が破壊されてしまう前に、この危険な神話を否定しなければならない」と訴えました。

さらに、日本政府が締約国会議に参加しない方針を示したことなどを踏まえ、岸田総理大臣に対して「人類が核兵器を使わないことを保証する唯一の方法は核兵器を放棄し、廃絶することだけだ。日本が核への依存という暗闇から脱して核廃絶の光のもとに導けるように要請します」と呼びかけました。