プーチン大統領「経済制裁は失敗」欧米側との対決姿勢を鮮明に

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、国内で開いている国際経済会議で演説し「欧米側はロシア経済を破壊しようとしたが、失敗した」と述べ、制裁にもかかわらずロシアの経済対策が機能していると強調したうえで、欧米側との対決姿勢を鮮明にしました。

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクでプーチン大統領みずからが主導して開いている「国際経済フォーラム」は17日、全体会合が行われました。

この中でプーチン大統領が演説し「ロシアのビジネスの評判や通貨の信頼が、欧米によって意図的に損なわれている」と述べ、ロシアへの経済制裁を強化する欧米側を批判しました。

一方で「欧米側はロシア経済を破壊しようとしたが、明らかに失敗した。ことしの春先にはロシア経済の先行きに対して悲観的な見通しが予想されたが現実のものとなっていない」と述べ、制裁にもかかわらずロシアの経済対策が機能していると強調したうえで、欧米側との対決姿勢を鮮明にしました。

さらにプーチン大統領は、ロシアへの制裁によって欧米側でむしろ物価が上昇しているとしたうえで、欧米側は、世界的な食料などの価格高騰の責任をロシアに転嫁していると一方的に批判しました。

そして「食料価格が上昇し、貧しい国々を脅かしている。ロシアは食料と肥料の輸出を大幅に増やすことができるだろう」と述べ、食料安全保障をめぐり、ロシアの制裁解除が必要だと訴えました。

また「ロシアはウクライナからの穀物の輸出を妨げることは全くしていない」として、ウクライナ南部に面する黒海の海上輸送を妨害していないと主張しました。

一方、ウクライナへの軍事侵攻については「特別軍事作戦のすべての目標は確実に達成されるだろう」と述べ、継続する考えを改めて示しました。

全体会合は、3時間半にわたって行われ、この中でプーチン大統領は、演説以外にも、司会者の質問に応じる形で欧米批判やウクライナに対する強硬な発言を繰り返し、国際社会がプーチン大統領の動向を注視する中、存在感を誇示したい思惑もうかがえます。

中国 習国家主席がビデオメッセージ「一方的な制裁やめるべき」

中国外務省によりますと、習近平国家主席は、サンクトペテルブルクで開かれた「国際経済フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、欧米などが、ウクライナに軍事侵攻したロシアに制裁を科す中「一方的な制裁はやめるべきだ」と批判しました。

そのうえで「世界のサプライチェーンの安定を維持し、日に日に深刻化する食料やエネルギーの危機にともに対応し、世界経済の回復を実現すべきだ」と述べ、制裁を行うのではなく、各国が経済的な連携を深めていくべきだという考えを示しました。