スリランカ女性死亡 当時の入管局長ら不起訴に 名古屋地検

名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていた、スリランカ人の女性が死亡した問題で、遺族が適切な医療を提供しなかったのは、女性が死亡してもかまわないと考えていたからだとして、殺人の疑いで刑事告訴していた当時の局長などについて、名古屋地方検察庁は17日、不起訴にしました。

去年3月、名古屋出入国在留管理局の施設に収容されていたスリランカ人の女性、ウィシュマ・サンダマリさん(33)が体調不良を訴えて亡くなりました。

出入国在留管理庁は、適切な治療を行う体制が不十分だったなどとする最終報告書を公表しましたが、遺族は体調不良を訴えるウィシュマさんに適切な医療を提供せず収容を継続したのは、管理局の当時の局長を含む少なくとも7人が死亡してもかまわないと考えていたからだなどとして、去年、名古屋地方検察庁に殺人の疑いで告訴していました。

これについて名古屋地方検察庁は捜査の結果、17日、当時の局長などには嫌疑がないとして不起訴にしました。

また、名古屋市の男性からの刑事告発を受けて捜査を進めていた保護責任者遺棄致死の疑いについても不起訴としました。

不起訴とされたのは合わせて13人で、検察によりますと、ウィシュマさんの死因が特定できず、入管の対応とウィシュマさんが死亡したことの因果関係が認められないと判断したということです。

検察は「死因の特定のために、遺体の検査結果や解剖結果の精査、各種分野の専門医に聴取するなど、事実関係の解明に向けた所用の捜査を尽くした」としています。

この問題をめぐっては、遺族が国に賠償を求めている裁判が名古屋地方裁判所で続いています。

遺族「本当に残念です」

亡くなったウィシュマさんの2人の妹と代理人の弁護士は17日、名古屋地方検察庁で捜査の結果について説明を受けたあと、報道関係者の取材に応じました。

それによりますと、検察はウィシュマさんの死因について「低栄養脱水に伴う身体合併症の可能性が高い」と考えられるものの特定には至らなかったと説明したということです。

そのうえで、入管が適切な医療や食事の提供などを怠ったとは言えず、入管の対応とウィシュマさんの死亡との因果関係も認められないと説明したということです。

さらに、検察は保護責任者遺棄致死や業務上過失致死の疑いについても成立しないと話したということです。

ウィシュマさんの妹のポールニマさんは「皆さんの家族が同じことになったらどう思うでしょうか。皆さんが思う気持ちと同じことを私たちも思っています。1年以上頑張って戦ってきたので本当に残念です」と話しました。

また、遺族の代理人の指宿昭一弁護士は「誰も刑事責任を問われないで終わってしまうのは、日本の社会にとって正常じゃないと思います。刑事責任を追及していきたい」と述べ、検察が起訴しなかったのは不当だとして、近く、検察審査会に審査を申し立てる考えを明らかにしました。

名古屋出入国在留管理局「コメント差し控える」

検察の不起訴処分を受けて名古屋出入国在留管理局は「捜査当局における判断、決定については回答する立場にありませんのでコメントを差し控えさせていただきます」というコメントを出しました。