米 ウクライナへの追加の軍事支援発表 ロシアは強く警戒

ロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強める中アメリカなどはウクライナへの追加の軍事支援を発表しました。ロシアはこうした動きを強く警戒し、プーチン大統領の最側近は「さらなる人的被害と破壊につながるだけだ」と反発しています。

ロシア軍は、完全掌握を目指す東部ルハンシク州のセベロドネツクを包囲するため攻勢を強めていて、地元のハイダイ知事は、セベロドネツクにあるウクライナ側の拠点のアゾト化学工場に、今もおよそ500人の市民が避難していて、そのうち40人は子どもだと明らかにしています。

ロシア国防省は、こうした市民を工場から避難させるための「人道回廊」を15日に設置すると発表しましたが、その後「ロシアが前例のない措置を講じたにもかかわらず、ウクライナは皮肉なことに人道的活動を妨害した」と一方的に主張し、依然として市民の避難は困難な状況とみられます。

ロシア軍が攻勢を強める中、ウクライナのマリャル国防次官は14日、ロシア軍が1日にウクライナ軍の10倍近くの砲弾を使っていると指摘したうえで、欧米からの軍事支援について「われわれが必要だと求めた兵器のうち、現時点では10%しか受け取れていない」と述べ、兵器の供与を加速するよう訴えました。

こうした中、15日、ベルギーの首都ブリュッセルではアメリカの主導でウクライナへの軍事支援について話し合う会合が開かれました。

NATO=北大西洋条約機構の加盟国などおよそ50か国の関係者が参加し各国からは多連装ロケットシステムなどさらなる兵器や弾薬の供与が相次いで表明されました。

また、アメリカのバイデン大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領と15日、電話で会談し、10億ドル、日本円にしておよそ1300億円相当の追加の軍事支援を行うことを伝えました。

ロシア側は、こうした欧米の軍事支援の動きを強く警戒していて、ロシア国防省は15日の発表で、ミサイルによる攻撃で、▽西部リビウ州でNATOから供与された兵器の弾薬庫を破壊したほか、▽東部のドネツク州やドニプロペトロウシク州でも欧米から供与された兵器を破壊したと強調しました。

また、プーチン大統領の最側近の1人、パトルシェフ安全保障会議書記は15日「欧米はウクライナに兵器を送り続けるとともに、ロシアへの制裁を強化して圧力をかけようとしている。こうした行動は逆効果であり、人為的に紛争を起こし、さらなる人的被害と破壊につながるだけだ」と反発しています。