もうすべらない! 雨の日の“あるある”探検隊

もうすべらない! 雨の日の“あるある”探検隊
すべるなぁー。

梅雨入りしました。
雨で路面がぬれることの多いこの時期。
思わず足をすべらせてしまうことはありませんか。

実は、いちばんすべるリスクが高いのは、坂道じゃなく平らな道。
晴れた日の私たちの味方が、雨の日に豹変するのです。

(ネットワーク報道部 村堀等 馬渕安代 おはよう日本 馬渕茉衣)

雨の日にすべった話

記者の村堀等(ひとし)です。

アラフォーの大人としてはすべって転ぶのは恥ずかしいし、ケガをする危険もあるので絶対に避けたいところ。しかし、雨の日にはツイッターで「すべった」報告が増えます。
「バスに乗ろうとして横断歩道渡ったところの点字ブロックで派手に転びました」
「ツルッと滑ったことある。マンホールの上で。危うく車に轢かれるとこだった」
「雨の日の横断歩道の白線とマンホールの蓋怖い」
中には骨折したり、救急車で搬送されるのを目撃したりしたという投稿もありました。

すべるリスクは平らな場所

どんな場所が危険なのか、東京都が以前、まとめていました。
坂道や階段かと思いきや、実はいちばんすべるリスクが高いのは「傾斜のない歩道」でした。
ただ転んだだけだと甘く見てはいけません。

「転倒・転落・墜落」が原因で死亡した人は年間9585人。(令和2年人口動態統計)
交通事故の2.6倍です。

内訳をみると
▽スリップ、つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒が7782人
▽階段及びステップからの転落及びその上での転倒が524人

平らな場所の方が転ぶリスクが高いんです。

すべらないよう調べてみた

どうしても転びたくない。そこで、自宅近くを歩いて調べてみました。

いつも履いているスニーカーで、歩道のあらゆるものの上ですり足をするという地道な調査です。
いちばんつるつるしていると感じたのは側溝のふたでした。
念のため片足だけですり足をしたものの、そのまま持っていかれて転ぶ危険すら感じるほどでした。
雨の日は側溝の上を歩かないほうが無難そうです。
側溝のふたに近い危険を感じたのは、地下鉄の駅の出入り口。
金属板やタイルはもちろん、階段もつるつる。
一方、意外だったのは、横断歩道などの白線。

引き立ての新しい白線はグリップが効いていて滑りにくく感じましたが、ボロボロになった古い白線は要注意。
摩耗してつるつるになっていて、ずるっと足が持っていかれそうになりました。

それから、マンホールなどの金属製のふた。
丸型のもの以外にも長方形のもの(NTTや消火栓)など、見つけた5種類全部を試してみたところ、すべりやすさは、ものによって異なっていました。

調査が終わって靴底を見ると、溝がすり減りほとんど平らに。
これはすべりそう。だいぶ長く履いてるし、買い替えなきゃ。

すべらない歩き方あるある

すべらないために何か私たちができることはないのか?
この方々に聞きました。
「あるある探検隊 あるある探検隊」

このネタで大ブレイクしたお笑いコンビ「レギュラー」の松本康太さんと西川晃啓さんです。

実は2人は歩き方のプロ。
2年前、健康のための正しい歩き方について伝える「健康ウオーキング指導士」(日本ウオーキング協会認定)の資格を取りました。

全国の介護施設を回ってネタを披露していく中で、歩き方の大切さを感じたといいます。
レギュラー 松本康太さん
「施設の入居者さんのお話を聞いた時に、もっと運動していたらよかったなって聞いて。歩くのはいい運動になるので。コロナ禍で施設にも行けなくなって、時間があるなら勉強したらええやんってなって」
雨の日のすべらないポイント。まずは靴だといいます。
例えば革靴。靴底が革製のものはつるつるしていて、すべりやすいといいます。
着地面積の小さいヒールなども、すべりやすいので注意が必要だそうです。
防滑加工がされたレインシューズやスニーカーなどがおすすめとのこと。

さらに、歩き方にもポイントがあるといいます。
普段は、かかとから着地するのが正しい歩き方だといいますが、それだと雨の日は転倒するリスクがあります。

このため、雨の日はやや前傾姿勢で、足の裏全体で地面を踏むようにして歩くと、すべりにくくなるそうです。

また雨の日は、泥はねや水はねも気になりますが、内股や外股にならないよう、進行方向に対してまっすぐ足を出すと防げるそうです。
レギュラー 西川晃啓さん
「雨の時って大股にならないように自然にやっていると思うんですけれど、それを分かりやすくやったほうが、すべりにくいということですね」

すべりの基準BPN

実はすべりやすさを測る基準がありました。
すべり抵抗値(BPN)という数字が小さいほどすべりやすく、反対に数字が大きいほどすべりにくくなる指標です。

日本道路協会では、アスファルトやぬれた道路の安全基準として、BPN40以上が望ましいとしています。これが一つの基準となっていて、白線やマンホールなど歩道上にあるものの多くもBPN40以上を参考に整備。

ただ、この基準はあくまで整備段階のもの。その後の定期点検ではすべり抵抗値は計測しておらず、すべりやすいことを理由に補修が行われることはないということでした。
実際、人や自転車などの通行で、表面が摩耗してすべりやすくなったままの場所も少なくありません。

すべらないための秘策

ただ、路上をすべりにくくする対策も始まっています。

例えば、道路の白線。
すべりにくくするため、砂利や砂などの「骨材」や、反射材の役割も担うガラスビーズなども練りこんでいるといいます。

また、マンホール。水道や下水道、電気やガスなどそれぞれ管理者はバラバラです。
東京都水道局は、表面に凹凸ができるよう模様や文字に溝をつけるように定めていて、その溝の幅や深さについても指定しています。
横浜市の下水道の担当部署は、市民からすべりやすいという指摘があれば、表面の凹凸が細かい、よりすべりにくい形状のふたに変えたり、すべり止め剤を塗布したりして対応しているそうです。

すべり止め剤には、松ヤニやガラスビーズなどが使われたものがあるそうです。
点字ブロックは、東京都が独自の基準を定めていて、BPN’50以上と日本道路協会の基準の40より、すべりにくさを重視しています。
使われる素材によってもすべりやすさが違います。

駅のホームでは、すべりづらいとされるコンクリート製のものが多いそうです。
塩化ビニル製のものは屋外ではすべりやすいとして室内専用にしているメーカーもあります。
表面を粗くしてすべりにくくした合成樹脂製の開発も進んでいます。

「点字ブロック避けて通って」

一方、視覚障害者からはこんな声も。
日本視覚障害者団体連合 工藤正一さん
「健常者からすれば障害物かもしれませんが、全盲など目が不自由な人は1人で歩く時は何かに沿って歩くしかなく、点字ブロックがなければまっすぐ進むことができないということを知ってほしい。弱視の人でも視認できるように黄色く目立つようにできているので、目が見える人は障害物になりうるものだと認識し、避けて通ってもらえればと思います」
団体には、健常者から点字ブロックですべったりつまずいたりしたという苦情の声が寄せられることがある一方で、視覚障害者の人からはそうした声はほとんどないそうです。
日本視覚障害者団体連合 工藤正一さん
「もっとすべらないようにしてほしいという思いはあります。しかし、目が不自由な人からすべったというような声がほとんどないのは、点字ブロックというのはそもそもすべりやすいものだと注意して歩いているからかもしれません」

レギュラーのすべらない話

最後にレギュラーの2人の“すべらない話”も聞きました。
レギュラー 松本康太さん
「ある介護施設でネタを披露した際、施設の皆さんが僕らの大ファンと聞いていましたが、いざ2人で『あるある探検隊 あるある探検隊 ハイ!ハイ!ハイ、ハイ、ハイ!』とやったところ、それを見ていたおじいちゃん・おばあちゃんがちょっと間を置いて『ハイ?』って言ったんですよ」
レギュラー 西川晃啓さん
「『知らんやん』てね。いや、もう愛想笑いして、傷のなめ合いですね」

「まあ、僕の場合は、最悪、気絶っていうギャグがあるんで。失敗しても最後…」
「グゥゥゥ~」
すべらんなー。