ウクライナ “兵器の供与加速を” ロシアは兵士の投降呼びかけ

ロシア国防省は、東部ルハンシク州でウクライナ側が拠点とする工場で市民を避難させる「人道回廊」を設置すると主張しながら、兵士の投降を呼びかけるなど、圧力を強めています。
一方、ウクライナ側は、欧米からの軍事支援について「現時点では10%しか受け取れていない」として兵器の供与を加速するよう訴えました。

ロシア軍は、完全掌握を目指す東部ルハンシク州のセベロドネツクを包囲するため攻勢を強めていて、地元のハイダイ知事は、ウクライナ側が拠点とするアゾト化学工場について「およそ500人の市民が残っていて、そのうち40人は子どもだ」と危機感を示しています。

一方、親ロシア派の武装勢力幹部はロシアの国営メディアに対し、工場にはウクライナ側の兵士およそ2500人がいて、そのうち500人から600人が外国の戦闘員だという見方を示しました。

また、この幹部は、工場には1000人から1200人の市民が残っているとみられるとも主張しています。

ロシア国防省は、こうした市民を工場から避難させるための「人道回廊」を日本時間の15日午後2時から設置すると発表しました。

その一方でロシア国防省は、ウクライナ側に武器を置いて投降するよう呼びかけるなど圧力を強めています。

アゾト化学工場について、イギリス国防省は15日の分析で「ウクライナ側の戦闘員が工場の地下にとどまる間、ロシア軍は周辺に足止めされることになり、部隊が他の場所に再配置することを妨げるだろう。こうした強固な抵抗はロシア側は予期していなかった可能性が高い」としています。

ただ、ウクライナのマリャル国防次官は14日、メディアのインタビューの中で、ロシア軍は、1日にウクライナ軍の10倍近くの砲弾を使っていると指摘したうえで、欧米からの軍事支援について「われわれが必要だと求めた兵器のうち、現時点では10%しか受け取れていない」と述べ、兵器の供与を加速するよう訴えました。

15日には、ベルギーの首都ブリュッセルでウクライナを支援する関係国による会合が開かれ、アメリカのオースティン国防長官が、ウクライナのレズニコフ国防相と会談する意向を示していて、ウクライナへの軍事支援の強化に向けた協議の行方が焦点です。