“マルサ”の脱税告発額 過去最少を更新 調査件数コロナで減少

国税局の査察部、いわゆる「マルサ」が昨年度に刑事告発した脱税の総額はおよそ61億円で、過去最少だった前の年度を8億円余り下回りました。新型コロナウイルスが収束しない中、調査件数の減少の影響が続く形となりました。

国税庁によりますと、全国の国税局の査察部がことし3月までの1年間に刑事告発した脱税事件は75件で、脱税の総額は60億7400万円でした。

この額は、昭和47年度に統計を取り始めて以降、最も少なかった前の年度よりも8億円余り、率にしておよそ12%少なくなりました。

告発した件数も前の年度より8件減っていて、国税庁は、新型コロナウイルスの影響で調査件数が少ない状態が続いていることが理由だとしています。

告発された業者数を業種別で見ると、
▽建設業が最も多く19
次いで、
▽不動産業が15
▽卸売業が4でした。

国税庁は摘発した事件で資金を隠した手口も公表し、このうち大阪国税局の事件では、
▽銀行の貸金庫から、現金およそ2億5000万円が、
▽自宅の押し入れの紙袋から、現金およそ4500万円が見つかったということです。

国税庁査察課の西川健士課長は「消費税の不正還付などを積極的に摘発したが、悪質な事例があとをたたない。引き続き、しっかりと調査に臨みたい」と話しています。