【解説動画】ウクライナ 戦況厳しく“火力足りず” 重要局面か

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指していて、激戦地となっているセベロドネツクでは攻防が続いていますが、ウクライナ政府からは厳しい発言が相次いでいます。

ゼレンスキー大統領はウクライナ兵の死者数について今月1日、「東部で1日60~100人の兵士が死亡している」と発言していましたが、9日、ポドリャク大統領府顧問はBBCのインタビューで「一日100~200人の兵士が死亡している」と発言しました。

その理由としてあげられているのが、圧倒的な火力の差です。

油井秀樹キャスターの解説です。
(動画は2分36秒です。データ放送ではご覧になれません)

ウクライナ国防省の幹部は、イギリス紙の取材に対して「今は砲撃戦だ、われわれは大砲で負けている。ロシアはウクライナの10~15倍の大砲を保有している」と発言しました。

さらに12日にはウクライナ軍のザルジニー総司令官がアメリカ軍のミリー統合参謀本部議長と電話で会談した際に「火力が10倍違う」と訴え、できるだけ迅速に追加のりゅう弾砲の供与を求めました。

アメリカとイギリスはりゅう弾砲よりも射程が長い「高機動ロケット弾システム」や「多連装ロケットシステム」の供与を決めているものの、アメリカの供与は4基にとどまっていることから、ウクライナ政府からは火力が足りないという懸念の声が出ています。

一方のロシア軍の死者数について、ゼレンスキー大統領は6月中に4万人を超える可能性があるとしており、ロシア側もかなりの打撃を受けていることは間違いないと言われています。

ただウクライナの国防省の幹部は「ロシアは現在のペースであと1年戦闘を続けられる」と指摘、「東部のドンバス地域で成功すれば東部を足がかりにして南部ザポリージャやオデーサを攻撃する」とも話しています。

今後、ウクライナへの支援をめぐっては国際的な会議が相次いで開かれますが、関係国がウクライナにどのような支援で一致するのか、戦闘の行方を左右しかねない、重要な局面になりそうです。

<今後の国際会議>
23~24日 EU首脳会議(ベルギー)
26~28日 G7首脳会議(ドイツ)
29~30日 NATO首脳会議(スペイン)