ウクライナ ロシア軍の戦争犯罪立証へ 証拠集め続ける

ウクライナではロシア軍の戦争犯罪を立証するための捜査が進められ、ロシア軍が一時占拠した首都キーウ近郊の町では警察や検察が証拠集めを続けています。

首都キーウ近郊のホストメリでは、侵攻が始まったことし2月24日にアントノフ空港がロシア軍に襲撃され、すぐ近くにある集合住宅も砲弾や銃撃で大きく破壊されました。

検察によりますと、ホストメリではこれまでに86人の死亡が確認されているほか、多くの人の行方がわからないままで、地元の検察当局はロシア軍の戦争犯罪を裁判で明らかにするため捜査を進めています。

警察官や検察官は集合住宅でロシア軍の兵士が残したとみられる銃弾のケースや食料の容器などを証拠品として回収していました。

また、住宅の敷地内ではロシア軍が車両を隠すために掘った跡が見つかり、検察官がその幅や深さを計測して記録していました。
現場に立ち会ったホストメリの行政トップのタラス・ドゥメンコ氏は「行政としては建物を解体して再建する必要があるが、がれきの中から新しい証拠が見つかるかもしれない。私たちは検察官と協力しながら戦争犯罪の事実をすべて記録して容疑者を特定し、国際法にしたがって裁判にかけることができると確信している」と話していました。

首都キーウの検察は被害の大きかった近郊の町の捜査態勢を強化していて、派遣された検察官が行政庁舎内に臨時に設けられた部屋で証拠品の書類作成などにあたっています。

捜査を担当するアンドリー・グラドキー検事は「私たちは攻撃が軍事施設ではなく、民間の住宅に対して行われたことを証明しなければならない。多くの現場と大量の証拠があり対処するのはとても難しいが、戦争犯罪を明らかにし適切な裁判が行われるために丁寧に証拠を集めていきたい」と話していました。

キーウの検察トップ「難しいのは犯罪した人物を特定すること」

ウクライナの首都キーウの検察トップ、オレグ・キパー氏は捜査の現状について「いちばん難しいのは犯罪の命令を下した人物や犯罪行為をした人物を特定することだ。ミサイルなどの大きな兵器による攻撃は、専門家の意見を聞きながらミサイルがどこから発射されたのかを特定し、発射したグループを絞り込んでいくことになる」と説明しました。

そのうえでキパー氏は「すべての戦争犯罪者を裁判にかけることができると確信しているが、それには長い時間がかかる。確かな証拠を集めて提示し、国内外にロシア軍の犯罪を明らかにすることが目標だ」と強調しました。