新型コロナ対策検証の報告書案 “一元的指揮の司令塔 整備を”

新型コロナ対策を検証する政府の有識者会議の報告書案が判明しました。
病床確保のための法的な措置が十分ではなく、医療のひっ迫が起きたなどと課題を指摘したうえで、一元的に感染症の対策を指揮する政府の司令塔組織を整備することが必要だとしています。

報告書案では、これまでのコロナ対応について、高齢化率が高い中でも欧米各国と比べて亡くなった人の数は抑えられた一方、経済に影響が出て、緊急事態宣言などによって落ち込んだGDP=国内総生産の回復の速度は緩やかだと指摘しました。

そのうえで、これまでの政府の対応の課題を挙げ、医療体制については、
▽それぞれの地域で医療機関の役割分担が明確でなく、
▽病床確保のために医療機関の協力を得る際の法的な措置も十分でないために、要請に基づいて対応せざるを得ず、しばしば医療がひっ迫したほか、
▽自宅療養者への医療や発熱外来の体制を作るのに時間がかかったとしています。

このため、危機に備えて、
▽平時からの備えを確実に行うことや、
▽法的対応や地域医療の計画の見直しも含めた仕組みを作ることなどが必要だと指摘しました。

また、
▽検査ニーズの高まりに十分対応できなかったとして、検査体制を抜本的に強化することや、
▽政府に対策を助言する専門家に対しては、科学的妥当性と透明性が担保されていない場合があったなどとして、
迅速に情報を共有できる環境を整備することなどが必要だとしています。

さらに、特措法に基づく行動制限の要請を行う場合には、政府が目的などの説明を丁寧に行い、国民が冷静な行動をとれるよう、リスク・コミュニケーションの視点に立って、円滑な情報提供を行うことが重要だとしています。

こうしたうえで、報告書案では、医療機関に対する行政の権限強化など、感染症による危機に素早く対応するために、政府に一元的に対策を指揮する司令塔組織を整備し、
▽行政の縦割りを排して、
▽政府の専門家組織を強化することなどを求めました。

報告書案は、15日に開かれる有識者会議で議論が行われ、報告書としてまとめられる見込みです。