関東の生乳販売団体 年度途中の乳価値上げ交渉へ 飼料代高騰で

関東地方の生乳を販売する団体は、新型コロナやウクライナ情勢の影響による飼料代の高騰を受けて、乳業メーカーに対しおよそ10%の値上げを目標に交渉を行う方針を決めました。
年度の途中で値上げの交渉を行うのは異例だということです。

関東の1都6県と山梨県と静岡県で生産された生乳を販売する「関東生乳販売農業協同組合連合会」=関東生乳販連は13日、都内で生産者の代表を集めた委員会を開きました。

この中で、新型コロナによるコンテナ不足やロシアのウクライナ侵攻で、輸入される穀物価格が高騰して飼料代が値上がりし農家の経営が圧迫されているとして、乳業メーカーに対し、乳価の値上げ交渉を行う方針を決めました。

生乳の生産にかかるコストが1キロ当たり25円増えているとして、ことし9月から乳価1キロ当たり15円、およそ10%の値上げを目標にするということです。

乳価は、需要と供給のバランスを見ながら乳業メーカーとの交渉で年度当初に決められますが、途中で値上げの交渉を行うのは異例です。

関東生乳販連の菊池一郎会長は「生乳の生産費が非常に膨らんでいるのにこれまで価格転嫁できなかった。乳製品が余っている中で消費者に値上げの理解が得られるか、乳業メーカーも非常に懸念しているので協議を重ねていきたい」と話していました。

千葉の酪農家「酪農危機 今までに類をみない大変さ」

酪農が盛んな千葉県は、生乳の生産額が全国5位で首都圏を中心に出荷していますが、飼料が大きく値上がりし農家の経営を圧迫しています。

このうち鎌ケ谷市の牧場でおよそ130頭の乳牛を飼育している鈴木利一さん(69)は、1か月の飼料代が例年より100万円余り、およそ3割増えるなどコストがかさみ、利益がほとんど出なくなっているということです。

千葉県酪農農業協同組合連合会=千葉県酪連によりますと、新型コロナの影響によるコンテナ不足やロシアのウクライナ侵攻で輸入される穀物価格が高騰して飼料代が値上がりしているということです。
鈴木さんは「これまでも酪農危機と言われる事は何度かあったが、今までに類をみない大変さになっている。みんな生き残りをかけて頑張っている」と話していました。

千葉県内の酪農を営む農家の数は現在400戸余りで、この40年ほどで10分の1にまで減っていて、千葉県酪連は「飼料の高騰の先行きが見通せない中でさらに生産者の減少に拍車がかかってしまう」と懸念しています。