ゼレンスキー大統領 “ロシア軍 自国の兵士の命さえ軽視”

ロシアでは12日、国家として主権を宣言した「ロシアの日」を迎え、プーチン大統領が首都モスクワで演説を行ったほか、ロシア側がすでに掌握したと主張するウクライナの東部や南部でも祝いの行事が行われました。

こうした中、ゼレンスキー大統領は「ロシア軍は訓練不足の徴集兵などを戦場に投入しようとしている」と述べ、自国の兵士の命さえ軽視しているとロシア側の姿勢を批判しました。

ロシアでは12日、32年前の1990年に国家として主権を宣言した記念日「ロシアの日」を祝う行事が行われました。

プーチン大統領は首都モスクワで演説し「われわれは、祖国や社会が一つになることがいかに重要かを痛感している」などと述べ、国民に団結するよう呼びかけました。

首都モスクワではこのほか、科学技術や文化などの分野で活躍した著名人を表彰する式典も開かれ、国をあげて祝賀ムードを盛り上げました。

こうした中、12日にはロシアから撤退したアメリカのハンバーガーチェーン大手、マクドナルドの店舗を利用した、ロシア資本の新たなハンバーガーチェーンが15の店舗で営業を始めました。

これまでマクドナルドはロシア国内でおよそ850店舗を営業していましたが、会社の代表は「850店舗だけでなく、新しい店舗を開いていく」と話し、欧米の企業の間で“ロシア離れ”の動きが広がるなか、強気な姿勢を強調しました。
「ロシアの日」を祝う行事は、ロシア側がすでに掌握したと主張するウクライナの東部や南部の都市でも行われました。

記念日を利用して、支配の既成事実化を進めようとしているとみられ、南東部ザポリージャ州のメリトポリでは、大勢の市民がロシアの国旗を手に広場に集まりました。

一方、ウクライナの東部では、ルハンシク州の激戦地セベロドネツクで砲撃で橋が破壊されるなど、ロシア軍の攻勢が一層激しさを増しています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、新たに公開した動画で「ロシア軍はドンバスに予備役の部隊を配置しようとしているが、訓練不足の徴集兵などを戦場に投入しようとしているようにみえる。ロシア軍の将軍たちは国民を数の上で優位に立つための捨て駒としか見ていない」と述べ、自国の兵士の命さえ軽視しているとロシア側の姿勢を批判しました。

また東部の戦況について「セベロドネツクでは激しい戦闘が至る所で続いている。リシチャンシクやスラビャンスクなどの方面にもロシア軍は圧力を強めている」と述べ、ロシア軍がセベロドネツク以外の東部の都市にも攻勢をかけているとの見方を示しました。