円相場 1ドル=135円台前半に値下がり 約24年ぶりの円安水準

週明けの13日の東京外国為替市場、円相場は一時、1ドル=135円台前半まで値下がりしました。1998年以来、およそ24年ぶりの円安水準となりました。

13日の東京外国為替市場は円安が一段と進み、午後1時すぎに1ドル=135円20銭台まで値下がりしました。これは1998年10月以来、およそ24年ぶりの円安水準です。

その後、日銀の黒田総裁が参議院の決算委員会で「急速な円安の進行は経済にマイナスであり、望ましくない」などと述べると、日銀が金融緩和の修正に動くのではないかという思惑から、円を買い戻す動きも出ました。

午後5時時点の円相場は、先週末と比べて1円円安ドル高の1ドル=134円59銭~60銭でした。

一方、ユーロに対しては先週末と比べて1円8銭円高ユーロ安の1ユーロ=140円87銭~91銭でした。

ユーロはドルに対して1ユーロ=1.0466~67ドルでした。

市場関係者は「アメリカの中央銀行がインフレを抑制するため金融引き締めの姿勢を強めているのに対し、日銀はいまの大規模な金融緩和を続ける方針で、日米の金利差が拡大するとの見方から、円が売られやすい状況が続くとみられる。こうした中で政府・日銀が円安にどう対応するかに市場の強い関心が集まっている」と話しています。

24年前の日本経済は「金融危機」に直面

24年前の平成10年(1998年)、日本経済は「金融危機」に直面していました。

前年に北海道拓殖銀行や山一証券などが相次いで経営破綻したことを受けて、市場では金融システムに対する不安から「日本売り」が強まり、円が売られて急速に円安ドル高が進行。

前年の1月に1ドル=115円から120円程度だった円相場は、この年の1月には130円台に値下がり。

政府、日銀は円安に歯止めをかけるため、4月と6月に「円買い・ドル売り」の市場介入に踏み切りましたが、円安の流れは止まらず、8月には1ドル=147円台をつけました。

円安を阻止するための「円買い・ドル売り」の市場介入は、このときを最後に実施されていません。

ただその後、ロシアの経済危機を受けて、アメリカのヘッジファンドが経営破綻。

アメリカ経済の先行きに悲観的な見方が急速に広がったことなどから、円高ドル安に転じ、10月には1ドル=110円前後まで一気に円高が進みました。

この年は日本長期信用銀行や日本債券信用銀行も経営破綻し、金融機関が不良債権処理を急ぐため、みずからの経営を優先して企業への融資を控える「貸し渋り」ということばが流行語にもなりました。

日銀 黒田総裁「経済にマイナスで望ましくない」

日銀の黒田総裁は13日の参議院の決算委員会で「急速な円安の進行は経済にマイナスであり、望ましくない」と述べました。

この中で黒田総裁は外国為替市場で円安が進んでいることについて「急速な円安の進行は先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど経済にマイナスであり、望ましくない」と述べました。

そのうえで「円安で収益が改善した企業が設備投資を増加させたり、賃金を引き上げたりすることで、経済全体として所得から支出への前向きな循環が強まっていくことが大事だ。政府と緊密に連携しつつ、引き続き為替市場の動向や経済・物価への影響を十分注視してまいりたい」と述べました。

また鈴木財務大臣は「円安にはプラスの面とマイナスの面の両方があると思う。円安が進んで輸入価格が上がっても賃金がそれを補うだけ上昇する力があればいいが、今は賃金上昇の力が弱く、ややマイナス面が出ているのではないかと認識している」と述べました。

そのうえで市場介入の可能性について質されたのに対し「私の立場からはコメントを控えたい」と述べるにとどめました。

三井住友銀行 高島頭取 “価格転嫁なら家計の購買力低下も”

外国為替市場で円安ドル高が進んでいることについて、大手銀行の三井住友銀行の高島誠頭取は大阪銀行協会の会長就任の記者会見で「いまの円安は、ここ数か月、特に数週間で急激に進んできている。企業などが先行きの見通しを立てるうえでは、円相場は安定的に推移することが望ましい」と述べました。
また、企業や家計への影響については「全体としてみれば円安などによるコスト上昇分を価格に転嫁できていない状況だが、逆に価格に転嫁すれば、家計の購買力が低下する可能性が高くなる。為替相場が経済に与える影響を注視していきたい」と述べました。

官房長官「急速な円安の進行が見られ憂慮」

松野官房長官は午前の記者会見で「為替相場は安定的に推移することが重要だが、最近の為替市場では急速な円安の進行が見られ憂慮している。政府としては日本銀行と緊密に連携しつつ、為替市場の動向やその経済や物価などへの影響を一層の緊張感を持って注視していく」と述べました。

そのうえで「為替政策については過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与えるというG7=主要7か国などで合意された考え方を踏まえ、各国通貨当局と緊密な意思疎通を図りつつ、必要な場合には適切な対応をとりたい」と述べました。

またアメリカ財務省が各国の通貨政策を分析する報告書で円安が進んでいる日本について「為替介入は非常に例外的な状況に限定されるべきだ」とけん制を続けていることに関して「近年の報告書で繰り返し使われてきた表現を踏襲したものであり、何ら新たな見解が示されたものではない」と述べました。

立民の泉代表「経済無策続く今の岸田政権 看過できない」

立憲民主党の泉代表は、党の執行役員会で「『1ドル=140円も見えてくる』という話もある状況で、経済無策が続いている今の岸田政権は看過できない。物価高に具体策がある党の姿を多くの国民に訴えていきたい」と述べました。