ロシア 記念行事利用しウクライナ地域支配の既成事実化進める

ウクライナ東部では、ロシア軍の攻勢が一層激しさを増し、ウクライナ側は、近く大規模な攻撃が始まるのではないかと警戒を強めています。こうした中、ロシア側は、すでに掌握したと主張するウクライナの東部や南部で、ロシアの記念日を祝う行事を行うなど、支配の既成事実化を進めようとしています。

ウクライナの東部ルハンシク州の激戦地、セベロドネツクでは、砲撃で橋が破壊されるなど、ロシア軍の攻勢が一層激しさを増し、ハイダイ知事は12日、地元メディアに対して、「ロシア軍は、セベロドネツクを掌握するため、近く予備の部隊をすべて投入するだろう」と警戒を強めています。

また、イギリス国防省も12日、「ロシア軍は、セベロドネツクとその周辺を徐々に掌握している」とする分析を発表しました。

こうした中、ロシアでは12日、32年前の1990年に国家として主権を宣言した記念日「ロシアの日」を祝う行事が行われました。

プーチン大統領は首都モスクワで演説し、「われわれは、祖国や社会が一つになることがいかに重要かを痛感している。団結とはすなわち、祖国への献身、そして祖国に対する責任で、われわれはそれを祖先から譲り受けた」と述べ、欧米と対抗するためにも国民に団結するよう呼びかけました。

「ロシアの日」を祝う行事は、ロシア側がすでに掌握したと主張するウクライナの東部や南部の都市でも行われ、南東部ザポリージャ州のメリトポリでは、大勢の市民がロシアの国旗を手に、広場に集まりました。

また、東部ドネツク州とルハンシク州の、親ロシア派が事実上支配する地域では、道路沿いや広場などに、親ロシア派の旗とともに、ロシアの国旗が掲げられました。

ロシアは、先月9日の「戦勝記念日」でも、掌握したと主張する地域などで同様の行事を行っており、記念日を利用して、ロシアとの一体感を住民に浸透させ、支配の既成事実化を進めようとしています。