親ロシア派の武装勢力「外国人捕虜3人に死刑判決」

ウクライナ東部でロシア軍が一段と攻勢を強める中、東部ドネツク州の一部を事実上支配する親ロシア派の武装勢力は「イギリス国籍の男性2人を含む3人の外国人捕虜に死刑判決を言い渡した」と発表し、イギリス政府は「正当性のない偽りの判決だ」と強く非難しています。

ロシア国防省は9日、東部ルハンシク州の各地をミサイルで攻撃し、ウクライナ軍の指揮所や武器庫などを破壊したほか、ドネツク州ではスホイ25戦闘機を撃墜したと発表しました。

また、ウクライナ軍の参謀本部によりますと、激戦地となっているルハンシク州のセベロドネツクには9日、ロシア軍の歩兵部隊が投入され、激しい市街戦になったということです。

ウクライナのレズニコフ国防相は9日、自身のSNSで、これまで欧米各国から自走式のりゅう弾砲や装甲車、それに対戦車ミサイルといった兵器が供与されたことに謝意を示したうえで「兵器の供与のスピードや量には満足していない」として、追加の軍事支援を急ぐよう訴えました。

こうした中、ドネツク州の一部を事実上支配する親ロシア派の武装勢力は9日「外国人の捕虜3人に死刑判決を言い渡した」と発表しました。

ロシアのインターファクス通信によりますと、このうち2人はイギリス国籍の男性で、ことし4月中旬にドネツク州のマリウポリで捕虜となり、もう1人はモロッコ国籍の男性で、3月中旬にドネツク州の別の街で捕虜になったということです。

親ロシア派の武装勢力は、3人はいずれも「金銭と引き換えに戦闘に加わる傭兵(ようへい)だった」と一方的に発表していますが、ウクライナ外務省の報道官は地元メディアの取材に対して「ウクライナ軍の一員として戦うすべての外国人は、ウクライナ軍の兵士だ」と述べ、国際法に基づき、捕虜としての権利が認められるべきだとしています。
イギリスのトラス外相は9日、ツイッターに投稿し「判決を全面的に非難する。彼らは戦争捕虜だ。これは正当性のない偽りの判決だ」として強く非難しました。