「アジア安全保障会議」きょうから開催 岸田首相が基調講演

アジアや欧米の防衛担当の閣僚らが地域の安全保障の課題について話し合う「アジア安全保障会議」が、10日からシンガポールで開かれます。
岸田総理大臣も出席し、基調講演で平和のための新たな構想を打ち出し「自由で開かれたインド太平洋」を推進するための具体的な計画を来年春までに発表すると表明する見通しです。
会議では、対立を深めるアメリカと中国が台湾情勢などをめぐりどのような姿勢を打ち出すかが焦点です。

「アジア安全保障会議」は新型コロナウイルスの感染拡大で、去年まで2年連続で中止されましたが、10日から、3年ぶりにシンガポールで開催され、日本の岸田総理大臣のほか、アメリカのオースティン国防長官や中国の魏鳳和国防相など、各国の防衛担当の閣僚らが出席します。

岸田総理大臣は、10日から2日間の日程でシンガポールを訪問し「アジア安全保障会議」に出席します。
日本の総理大臣の出席は、安倍 元総理大臣以来、8年ぶりです。

会議で、岸田総理大臣は基調講演を行い、ウクライナ情勢などを踏まえて平和のための新たな構想を打ち出し「自由で開かれたインド太平洋」を推進していくための具体的な計画を来年の春までに発表すると表明する見通しです。

また、日本の防衛力を抜本的に強化するとともに、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する考えを示すほか、被爆地、広島出身の総理大臣として「核兵器のない世界」に向けた取り組みを呼びかけるものとみられます。

一方「アジア安全保障会議」には岸防衛大臣も出席します。

これに合わせて岸大臣は、日本、アメリカ、韓国の3か国による防衛相会談を行い、北朝鮮への対応で連携を確認するほか、中国の魏鳳和国防相とも会談し、東シナ海などで海洋進出を強める中国の動きに懸念を伝え、自制を求める方針です。
ことしの「アジア安全保障会議」では、台湾情勢のほか、南シナ海や、米中両国が関与を強める南太平洋の問題などをめぐって議論が交わされる見通しで、対立を深めるアメリカと中国がどのような姿勢を打ち出すかが焦点です。

また現地では、アメリカのオースティン長官と中国の魏国防相の対面では初めてとなる会談も調整されています。

このほか会議では、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮や、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって意見が交わされる見通しで、ウクライナのゼレンスキー大統領も11日にオンラインで演説する予定です。

安全保障をめぐる環境が大きく変化する中、各国がどのような主張を展開するのか注目されます。