ウクライナ公共放送会長 客観的な報道に努める姿勢強調

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナ公共放送の会長が日本のメディア向けにオンラインで会見し、取材中の職員がロシア側に拘束されるなど安全の確保が最大の課題だとしたうえで「報道機関としてのプロフェッショナリズムが薄れるわけではない」と述べ、客観的な報道に努める姿勢を強調しました。

9日、日本記者クラブでオンラインで会見したのはウクライナ公共放送「ススピーリネ」のミコラ・チェルノティツキー会長です。

「ススピーリネ」はロシア軍の侵攻が始まって以降、激しい戦闘が続く場所でも取材を続け、動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じて国内外にニュースを伝えています。

会見でチェルノティツキー会長は「ミサイル攻撃の標的になっている場所でも取材活動を続けているが、職員がロシア側に一時拘束されるケースもある」と述べ、安全の確保が最大の課題だとしました。

また職員たちの間ではウクライナ軍が自国の死傷者の情報を明らかにしていないことを疑問視する声もあるとする一方「政治的な検閲はない。もしあったらウクライナでは大きなスキャンダルになるだろう」と述べ、戦時下でも報道の自由は保たれているという認識を示しました。

そのうえでチェルノティツキー会長は「われわれにも当然感情があるが、それによって報道機関としてのプロフェッショナリズムが薄れるわけではない」と述べ、ウクライナの勝利を願いつつも情報をゆがめるのではなく、あくまでも客観的な報道に努める姿勢を強調しました。