安保理で拒否権行使の常任理事国が説明行う初の国連総会

国連安全保障理事会で拒否権を行使した常任理事国が説明を行う初めての国連総会が開かれ、先に北朝鮮への制裁決議案に拒否権を行使した中国とロシアが、それぞれの立場を正当化しました。これに対してアメリカや日本などが北朝鮮の挑発行為を容認するものだと非難したほか、各国からも拒否権の乱用によって安保理が機能不全に陥っているといった批判が相次ぎました。

国連総会ではことし4月、安保理の常任理事国が拒否権を行使した場合に総会で説明を求める決議が採択されました。

安保理では先月、アメリカが、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮への制裁を強化する決議案を提出したのに対し、中国とロシアが拒否権を行使したことから、8日、それぞれに説明を求める初めての総会が開かれました。

総会では冒頭、中国の張軍国連大使が「朝鮮半島の緊張を高めるべきではなく対話を優先すべきだ」と述べたほか、ロシアの国連次席大使も「制裁の強化は問題解決につながらない」と述べ、いずれも決議案の内容が不当だったとして拒否権の行使を正当化しました。
このあとおよそ80か国が演説を行い、アメリカの国連次席大使は、北朝鮮による弾道ミサイルの発射が安保理決議に違反するとして、中国とロシアに対して「北朝鮮の挑発行為に暗黙の了解を与えた」と厳しく非難しました。
また、日本の小田原外務副大臣も「北朝鮮は安保理の強い反応がないことを利用するかのように、核・ミサイル開発を加速させている」と述べ、中国とロシアをけん制しました。

このほか総会では多くの国から「拒否権が乱用されることで安保理が機能不全に陥り、国連が本来の役割を果たせなくなっている」といった批判も相次ぎ、国連の制度の限界や国際社会の対立や分断が際立つ形となりました。

官房長官「非難の声上がったことは意義があった」

松野官房長官は午前の記者会見で「総会の討論で、アメリカや韓国、ヨーロッパなど、多くの国からも北朝鮮による核・ミサイル活動に対する懸念や国連の安保理決議違反に対する、非難の声が上がったことは意義があった。安保理で拒否権を行使した国がその理由について説明する初めての機会となり、国連全体の改革や機能強化を図っていくうえで一定の意味があった」と述べました。

一方で「今後、今回のような会合が改めて開催されることがないよう、安保理がみずから採択した北朝鮮に関するこれまでの決議を実施し、国際社会の平和と安全の維持という本来の責任を果たしていくことを期待する」と述べました。