ロシアとトルコが外相会談 ウクライナからの穀物輸出で協議

ロシアのラブロフ外相は8日、仲介役のトルコのチャウシュオール外相と会談し、黒海に面する港からウクライナの穀物が輸出できない問題について協議しました。チャウシュオール外相はウクライナも交えて協議を続けたい意向を示した一方、ラブロフ外相は、穀物の輸出にはまずウクライナ側が機雷を除去する必要があると主張しました。

ロシア軍のウクライナ侵攻によって、世界有数の穀物の輸出国であるウクライナが黒海に面した港をロシア軍に封鎖されて輸出ができなくなっているとして、食糧危機への懸念が高まっています。

こうしたなか、ロシアのラブロフ外相は仲介役のトルコの首都アンカラを訪れて、8日、チャウシュオール外相と会談しました。

会談後の共同記者会見で、チャウシュオール外相は「国連とトルコ、それにロシアとウクライナで会合する計画があり、それは実現可能だ」と述べ、黒海での安全な海上輸送ルートの設置に向けて、ウクライナも交えて協議を続けたい意向を示しました。

これに対してラブロフ外相は、食糧危機について欧米やウクライナがロシアに責任を押しつけていると批判しました。

そして「ウクライナ軍が港の機雷を除去し船舶が航行できるようになっても、ロシアがその状況を特別な軍事作戦のために利用することはないと保証する」と述べ、まずウクライナ側が設置された機雷を除去する必要があると強調したうえで、ロシアがそれを利用してウクライナ側を攻撃することはないと主張しました。

穀物の輸出についてロシアは、仲介役のトルコを通じて引き続き協議していく考えとみられますが、ウクライナ側は「ウクライナの利益を加味しない、いかなる合意も拒否する」と警戒していて、調整は難航も予想されます。

ウクライナ外務省「すべての関係国が参加して行われる必要ある」

ロシアとトルコの外相会談が行われるのを前に、ウクライナ外務省は7日、ホームページ上で声明を発表しました。

この中で「私たちは、ウクライナの農産物を輸出するための回廊を作ることができるよう国連や友好国とともに取り組んでいる。しかし、ロシアが、この回廊を使ってオデーサなどウクライナ南部を攻撃することは排除できず、船舶が航行できるような効果的な安全保障が必要だ」としています。

そして、ロシアによる港の封鎖を解除しようとするトルコの取り組みを評価するとしながらも「意思決定は、すべての関係国が参加して行われる必要があると強調する。ウクライナの利益を加味しないいかなる合意も拒否する」と述べ、ウクライナが参加しない形でロシアとトルコが交渉を進めようとしていることに警戒感を示しました。

ロシア外相 “輸出には機雷除去が必要”

ロシアのラブロフ外相とトルコのチャウシュオール外相は、会談後、共同で記者会見しました。

この中でラブロフ外相は「ウクライナの穀物に関する状況と、食糧危機とは何の関係もない」と述べ、欧米側がロシアに責任を押しつけていると批判しました。

そのうえで、穀物輸出について「ロシアとトルコは、穀物の輸出のためにウクライナの港に設置されている機雷の除去について議論している」と述べ、穀物を輸出するにはウクライナ側が設置しているとされる機雷の除去が必要だと主張しました。

トルコ外相 “ウクライナも交え輸出正常化に向けた協議を”

また、チャウシュオール外相は穀物輸出について「最優先は、ロシアとウクライナからの穀物輸出だ。国連とトルコ、それにロシアとウクライナで会合する計画があり、それは実現可能だ」と述べ、ウクライナも交えて輸出の正常化に向けた協議を続けたい意向を示しました。