世界の経済成長率見通し 2.9% 前回から下方修正 世界銀行

世界銀行は、ことしの世界全体の経済成長率の見通しを前回の予測よりも1.2ポイント低い2.9%へと下方修正しました。
ロシアによるウクライナ侵攻などによって、物価の上昇と景気の減速が同時に進む「スタグフレーション」のリスクが生じていると警鐘を鳴らしています。

世界銀行は7日、世界経済の最新の見通しを公表し、ことしの成長率を2.9%と、前回、1月時点の予測から1.2ポイント下方修正しました。

国や地域別では、▽ユーロ圏が1.7ポイント、▽アメリカが1.2ポイントそれぞれ引き下げられ、いずれも2.5%になるとしています。

また、▽新型コロナウイルスの厳しい規制を続ける中国は、0.8ポイント引き下げて4.3%とし、▽日本は1.2ポイント引き下げて1.7%と、去年と同じ1%台の成長を見込んでいます。

成長率の下方修正は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をきっかけにエネルギーや穀物の価格高騰に拍車がかかっていることに加え、主要な国の間でインフレの抑制に向けた金融引き締めの動きが加速しているためです。

一方、▽厳しい制裁を受けるロシアの成長率はマイナス8.9%に、▽ウクライナはマイナス45.1%に、それぞれ落ち込むとしています。

世界銀行は、物価の上昇と景気の減速が同時に進む「スタグフレーション」のリスクが世界的に生じていると警鐘を鳴らし、とりわけ途上国の食糧不安や貧困の悪化に懸念を示しています。