外国人観光客受け入れ再開を前に 観光庁がガイドライン公表

外国人観光客の受け入れが今月10日から再開されるのを前に、観光庁は旅行会社向けのガイドラインを7日、公表しました。旅行会社がツアーの参加者に対して、マスクの着用をはじめ感染防止対策を徹底するよう、あらかじめ同意を得ることなどが盛り込まれています。

観光庁は、先月下旬実施した試験的な訪日ツアーの結果などを反映したガイドラインを、7日、公表しました。

ガイドラインでは、旅行会社がツアーを販売する際に、参加者に対してマスクの着用をはじめ感染防止対策を徹底することや、国内で入院したり治療を受けたりする場合に備えて、民間の医療保険に加入してもらうことなどを説明し、同意を得ることが盛り込まれています。

こうした手順に従わない場合は、ツアーへの参加が認められない可能性があるということです。

また、ツアー中は添乗員が場面に応じて、感染対策のこまめな注意喚起を行うよう求めています。

一方、陽性者が出た場合に備えて、旅行会社に対し、あらかじめ自治体の相談窓口などを確認したうえで、陽性者の医療機関への受診対応や濃厚接触者の範囲を特定することを求めています。

ガイドラインについて斉藤国土交通大臣は閣議のあとの記者会見で「内容を順守していただくことが、円滑な訪日観光の再開や、その後の受け入れ拡大につながる」と述べ、理解を求めました。

業界団体からは歓迎の一方 “分かりづらい”指摘も

7日に発表された外国人観光客受け入れのガイドラインについて、業界団体からは、新型コロナの感染者が出てもほかの人はツアーを継続できる内容となったことを歓迎する声が出る一方、旅行の中止が求められる濃厚接触者の定義が分かりづらいという指摘も出ていました。

アジアから日本への旅行を企画する会社などで作るAISO=「アジアインバウンド観光振興会」によりますと、業界内ではガイドラインの発表の前、ツアーの参加者から感染者が出た場合にツアー全体の中止が求められたり、ツアーごとの参加人数に上限が設けられ採算が取れなくなったりすることを心配する声が上がっていたということです。

しかし、今回のガイドラインでは陽性になった人と濃厚接触者以外は旅行を続けられることが示されたほか、参加人数の上限は設けられませんでした。
AISOの王一仁理事長は「感染者が出た場合に旅行全体が中止になるか非常に心配していた。小規模のツアーではコストもかかる。制限、上限がなくよかった」と胸をなで下ろしていました。

一方王理事長は、ガイドラインでは誰が濃厚接触者に当たるのかが分かりにくく現場に判断が求められるとして、具体的な基準を示してほしいと指摘していました。

王理事長が経営する旅行会社にはすでにフィリピンやシンガポールなどの旅行業者から問い合わせが相次いでいるということです。

受け入れ再開を歓迎 都内ホテルで準備進む

新型コロナの感染拡大前、宿泊客のおよそ6割が外国人だった東京・港区のホテルでは、外国人観光客の受け入れ再開を歓迎し、迎え入れる準備を進めています。

7日、観光庁が発表したガイドラインは、ホテルや旅館に対し、ロビーや食堂などの目立つ場所に外国語で感染防止対策を呼びかける掲示を行うことなどを求めています。

東京 港区にあるホテル「The Okura Tokyo」は新型コロナの感染拡大前、宿泊客のおよそ6割が外国人で、今月10日の外国人観光客の受け入れ再開を歓迎しています。

玄関やレストランではすでに英語と日本語でマスクの着用や消毒の徹底を呼びかけていて、7日に発表された観光庁のガイドラインを確認した担当者は「わかりやすく掲示したい」と話していました。

またホテルでは海外からの宿泊客の多様な食文化に対応するため、感染対策で2年以上休止していた平日の朝食のビュッフェを先月から再開しました。

人が密集したり、大声を出したりするなど対策が不十分だと感じた場合にはスタッフが直接注意を呼びかけることにしています。
ホテルの中野公士朗 料飲サービス課長は「皆様が安心して利用していただけるよう引き続き対策を行い、海外からのお客様を増やせるよう取り組んでいきたい」と話していました。