アスベスト健康被害 国の救済基金 “治療研究などにも活用を”

アスベストによって健康被害を受けた人の救済制度について、環境省が設けた委員会は、国の救済基金を療養だけでなく、治療方法の研究などにも活用できるよう見直せないか議論を進めていくことになりました。

中皮腫など、アスベストによる健康被害をめぐっては、労災認定を受けるのが難しかったり、職場以外でアスベストを吸ったりした人を対象に、国が、医療費の一部や月額10万円余りの療養手当などを給付する救済制度を設けています。

この制度は定期的に見直されていて、環境省は学識者や患者などによる委員会を6日、6年ぶりに開きました。

この中では、平成18年の制度開始から昨年度までに認定を受けた人は、およそ1万7000人で、国の救済基金から毎年40億円ほどが給付されている一方、基金の残高は、およそ783億円に上っていることが示されました。

委員からは「『中皮腫は治らない病気』と言われ続けてきたが、今は治せる病気にしようと研究が進んでいる」とか「患者の命に関わるので、治療や検査の研究にも基金を使えるよう、法改正も含めて対応を検討すべきだ」といった意見が相次ぎました。

こうした意見を踏まえ、委員会では基金を療養だけでなく、治療や検査の研究にも活用できるよう見直せないか議論を進めていくことになりました。

今後、患者や研究者からヒアリングを行い、今年度中に報告書をまとめる予定にしています。