【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる7日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシアのプーチン大統領 経済に強気の姿勢示す一方で警戒感も

ロシアのプーチン大統領は7日、閣僚などが出席する国内の経済会議で「4月の失業率は歴史的な低水準で、4%と過去最低を記録した。5月後半には物価上昇が止まり、インフレ率がゼロになった。為替相場も安定している」と述べ、欧米の経済制裁が強まる中でも影響は出ていないと、改めて強気の姿勢を示しました。

その一方で「鉄鋼など多くの産業で、中期的に生産が大幅に減少するリスクが指摘されている。労働市場にもまだリスクが残っている」と述べたほか、インフレについては「伏兵が隠れているかもしれず最大限の注意を払って分析し、タイムリーな決断をする必要がある」と述べ、警戒感もにじませました。

ロシア国防相「ルハンシク州の97%を掌握」と主張

ロシアのショイグ国防相は7日、国防省で行われた会議で戦況を発表し、このなかで、東部ルハンシク州でウクライナ側が拠点とするセベロドネツクについて「セベロドネツクの住宅地域については完全に掌握した。現在、工業地帯や近隣の人口密集地域で攻撃を続けている」と述べました。
そして、軍事作戦を続けた結果、現時点でルハンシク州の97%を掌握したと主張しました。

また、ショイグ国防相はこれまでのウクライナでの軍事作戦を通じてあわせてウクライナの兵士6489人が武器を置いて投降してきたとしています。

セベロドネツクを巡ってはゼレンスキー大統領が6日、「激しい市街戦が繰り広げられているが、われわれの軍が街を明け渡すことはない」と述べ、抗戦する姿勢を強調していました。

EU上級代表「ロシア軍が穀物ターミナルを破壊した」

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は6日、ツイッターに「ロシア軍が南部ミコライウにあるウクライナで2番目に大きい穀物ターミナルを破壊した」などと投稿し、黒海沿岸の穀物の輸送拠点に対するロシアのミサイル攻撃が世界的な食糧危機を招くと批判しました。

ウクライナ海軍「黒海艦隊を100キロ以上後退させた」

ウクライナの南に広がる黒海の戦況について、ウクライナ海軍は6日「黒海に展開していたロシア海軍の黒海艦隊の艦艇を海岸線から沖合100キロ以上に後退させた」と発表しました。

これについてアメリカのシンクタンク、戦争研究所は「イギリスなどから供与された対艦ミサイルによってウクライナ海軍の圧力が強まり、ロシアの艦艇は後退を余儀なくされた」と分析しています。

その上で「今回の成功を活用して、ウクライナはロシアによる港湾封鎖の圧力を緩和しようとするだろう」と指摘しました。

黒海はウクライナにとって重要な海上輸送路ですが、ロシア海軍は今回の軍事侵攻にあたって艦艇をウクライナ沖に配置し、陸上の標的に向けてミサイル攻撃を繰り返したほか、民間の船舶の航行を妨げ、ウクライナの穀物輸出を妨害してきました。

東部ドネツク州の要衝で多くの市民が避難

東部ドネツク州の要衝スラビャンスクの状況についてドネツク州のキリレンコ知事は7日、「街に残っている市民は2万4000人にも満たない」と述べ、激しい攻撃を受けてかつて11万人いた市民のうち8割近くが街を離れたとしてロシアを非難しました。

日本訪問中のNATO軍事委員長 自衛隊トップと会談 連携強化確認

日本を公式訪問しているNATO=北大西洋条約機構のバウアー軍事委員長と自衛隊トップの山崎統合幕僚長が会談し、ウクライナ情勢などについて意見を交わしたうえで、日本とNATOが連携を強化していくことを確認しました。
会談の冒頭、山崎統合幕僚長は「力による現状変更を断じて許さないのは国際社会における安全保障上の共通課題で、日本とNATO、NATO加盟国の連携強化が必要不可欠だ」と述べ、バウアー軍事委員長は「国際秩序を守るためにも自由主義、民主主義国家との協力・連携が必要で、日本はNATOにとって極めて重要なパートナーだ」と応じました。

会談で両者は、ウクライナ情勢のほか、中国が海洋進出の動きを強めるインド太平洋地域の現状などについて意見を交わしたうえで、日本とNATOが連携を強化していくことを確認したということです。

ウクライナから日本に避難 1237人(5日時点)

出入国在留管理庁によりますと、ウクライナから日本に避難した人たちは5日時点で1237人となっています。

内訳は
▽ことし4月に政府専用機で避難してきた人が20人、
▽政府が座席を借り上げた民間の航空機で避難してきた人が合わせて111人、
▽そのほかの手段で避難してきた人が1106人です。

性別では
▽男性が308人、
▽女性が929人となっています。

年代別では
▽18歳未満が283人、
▽61歳以上が954人です。

入国日を月別にみると、
▽3月が351人、
▽4月が471人、
▽5月が332人、
▽6月が83人です。

このうち少なくとも17人はすでに日本から出国しているということです。

防衛省 海軍シンポジウムへのロシア招待を取り消し

各国の海軍トップが集まって日本で開催される予定の国際シンポジウムをめぐり、防衛省は、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアの招待を取り消しました。

海上自衛隊の前身、「海上警備隊」が発足してからことしで70年になるのにあわせて、太平洋地域などの国の海軍トップが集まる「WPNS=西太平洋海軍シンポジウム」と艦艇を招く「国際観艦式」が日本で開催される予定です。

岸防衛大臣は記者団に、シンポジウムと観艦式に招待していたロシアについて「WPNSのメンバー国だが、ウクライナ侵略は国際秩序の根幹を揺るがす行為で、国連憲章をはじめ、国際法の明確な違反で、各国海軍の間の信頼醸成といった取り組みの前提を覆すものだ」と述べました。

そして、ロシアの招待を取り消したことを明らかにしました。

ウクライナの大学生 早稲田・慶応など15大学受け入れへ

ウクライナの大学生などの受け入れを支援している民間の団体が会見し、早稲田大学や慶応大学など全国15の大学などと連携して受け入れを進めていくことを明らかにしました。

会見したのはウクライナの学生を日本の大学や日本語学校で受け入れる取り組みを進めている民間の支援団体「パスウェイズ・ジャパン」などです。

それによりますと、団体はすでに▽国際基督教大学や▽上智大学などと連携して学生の受け入れを進めていますが、新たに▽早稲田大学▽慶応大学▽明治大学▽立教大学など全国13の大学や大学院とも連携し、15の大学であわせて70人程度を受け入れる計画だということです。

対象は日本語か英語が堪能な学生で新たな受け入れの開始はことし8月を予定しています。選考は書類審査や面接などで行い、渡航費用や授業料、生活費などは各大学などが負担するということです。

ゼレンスキー大統領 国際社会への情報発信を訴え

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ジャーナリストのための記念日にあたる6日、みずからの演説の動画を大統領府のホームページに公開しました。

この中で、ゼレンスキー大統領は「メディアがどのように機能しているのか、現代人の誰もが知っている。1つの話題に目を向け続けることは非常に難しい」と述べました。

そのうえで「自由のための私たちの闘いが後退しないよう、誰もがいま起きていることを話し続けなければならない。ウクライナのことを世界に発信すればするほど早く戦争を終結させ、私たちの土地を解放することができる」と述べ、国際社会への情報発信を粘り強く続けるよう訴えました。

また、ゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降、これまでに内外のジャーナリストあわせて32人が犠牲になったと明らかにしました。

ゼレンスキー大統領 港封鎖で穀物輸出できずロシアを非難

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、首都キーウで記者会見し、軍事侵攻を続けるロシアによってウクライナ南部の港が封鎖されたことで、2200万トンから2500万トンの穀物が輸出できない状態にあると述べ、ロシアを非難しました。

そして、今後も港の封鎖が続いた場合、ことし秋までに合わせて7500万トンに上る穀物が輸出できなくなるおそれがあるとして、強い懸念を示しました。

そのうえでゼレンスキー大統領は「穀物輸出を可能にするような安全回廊が必要だ」と述べ、穀物輸出の方法をめぐって、イギリスやトルコとの間で協議を行っていると明らかにしました。

一方、ロシアのプーチン大統領は、3日に放送された国営のロシアテレビのインタビューで「ロシアは無条件で安全な航路を確保し、船の安全な入港を保証する。ウクライナから穀物を輸送する問題など、存在しない」として、ウクライナ側の主張を否定しました。

ウクライナは世界有数の穀物の輸出国で、ロシアによる軍事侵攻の影響で食糧危機への懸念が各国で高まる中、今月8日にはロシアのラブロフ外相がトルコを訪れて外相会談を行う予定で、海上輸送に関する協議が進むのか注目されています。

米「ロシア政府 報道の自由への総攻撃行っている」

ロシア外務省がモスクワに拠点を置くアメリカの報道機関各社に対し、ロシアでの取材活動ができなくなるおそれがあると警告したことについて、アメリカ国務省のプライス報道官は6日の記者会見で「ロシア政府は、報道の自由や情報の入手などに対し総攻撃を行っている」と述べ、強く批判しました。

さらに、ロシア側がアメリカで活動するロシアメディアの記者などのビザや取材許可証などの取得で問題が生じていると主張していることについては「アメリカ政府は条件を満たしたロシアのジャーナリストに対しビザの発給を続けており、取材許可証を無効にしたこともない」と述べました。

政府 ロシア ベラルーシへの追加制裁措置決定

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受け、政府はG7=主要7か国と連携して圧力をさらに強化する必要があるとして7日の閣議でロシアと同盟国ベラルーシへの追加の制裁措置を決めました。

具体的には、◇資産凍結の対象にロシアの2つの銀行と、ベラルーシの銀行1つを加え、◇ロシアの産業基盤の強化につながる物品の日本からの輸出を禁止するとしています。

輸出の禁止措置は、EU=ヨーロッパ連合やアメリカの対応を踏まえたもので、対象とする具体的な品目は今後、政令で定めるとしています。

松野官房長官は閣議のあとの記者会見で「ロシアに一刻も早く侵略をやめさせ、対話への道筋をつくるには国際社会が結束して、強力な対ロ制裁措置を講じることが必要だ。今後もG7をはじめとする国際社会と連携して適切に取り組んでいきたい」と述べました。

ウクライナ東部で激しい攻防続く

ロシア軍はウクライナ側が東部の主要な拠点とするセベロドネツクから、西におよそ60キロ離れた街、スビャトヒルスクを掌握しつつあるとしています。ロシア側としては、攻防が続くセベロドネツク近くの街を掌握することで戦闘を優位に進めたいねらいがあると見られます。

一方、ウクライナ軍の参謀本部は6日、声明を発表し、セベロドネツクの状況について「現在はわが軍の管轄下にあるが、市の東部で戦闘が続いている」と説明したうえで、セベロドネツクの東にある2つの集落でロシア軍を撃退したとして、一部で攻勢に転じていると主張しました。

松野官房長官「紛争下における性的暴力、極めて憂慮」

松野官房長官は、午後の記者会見で「紛争下における性的暴力はこんにちの国際社会の平和を脅かす重大な犯罪であり、ウクライナで報告された事例に関し、極めて憂慮している」と述べました。

その上で「ロシアに一刻も早く侵略をやめさせたうえで対話への道筋を作るため、引き続き国際社会と結束し、強力な対ロ制裁措置を講じつつロシアに侵略されているウクライナを支援をしていく」と述べました。

“124件の性暴力被害 うち49件は子どもが被害者” 国連安保理

国連の安全保障理事会では6日、ウクライナでの性暴力と人身売買に焦点をあてて議論が行われ、国連の担当者は、ロシアによる軍事侵攻以降、今月3日までに、合わせて124件の性暴力被害の報告を受けたと明らかにしました。

このうち49件は、子どもが被害者だということです。

担当者は「世界中の紛争の経験から考えても、報告は氷山の一角にすぎない」と指摘し、被害を防ぐために直ちに対策を講じるべきだと訴えました。

会合では、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使が「ロシア軍による市民への残虐行為の報告が日々増えていて、その中には性暴力の恐ろしい内容が含まれている」と述べるなど、欧米各国からロシアを非難する発言が相次ぎました。

これに対してロシアのネベンジャ国連大使は「証拠は示されていない。こうしたうそを強く拒否する」などと述べ、従来の主張を繰り返しました。

ロシア 米報道機関に警告 ロシアメディアへの「敵対的措置」で

ロシア外務省によりますと、6日、モスクワに拠点を置くアメリカの報道機関各社の代表を呼び、アメリカ政府によるロシアメディアへの「敵対的な措置」に対するロシア政府の立場を伝えたということです。

出席した関係者によりますと、この中で外務省のザハロワ報道官は、アメリカで活動するロシアメディアの記者などのビザや取材許可証、それに銀行口座の取得で問題が生じていると主張したということです。

そして、こうした状況が今後も改善されなければ「皆さんのロシアでの取材活動や生活でも同じような困難に直面する可能性がある」と述べ、ロシアに駐在するアメリカの報道機関の記者などのビザや取材許可証を剥奪する可能性に言及し、警告したということです。

関係者によりますと、出席したのはアメリカのABCやCNN、FOXなどのテレビ局のほか、AP通信などの代表合わせて11人で、誰からも質問はなく、ロシア側からの説明は30分ほどで終わったということです。

プーチン政権は先月、ロシアの国営テレビのカナダでの放送が禁止された報復だとして、カナダの公共放送のモスクワ支局を閉鎖に追い込むなど、外国メディアに対する締めつけを強めています。