ウクライナ軍“過去24時間で7回敵を撃退” 東部で反転攻勢か

ウクライナ東部では、ロシア軍が引き続き攻勢を強める一方で、ウクライナ側も抵抗を続け、ウクライナ軍の参謀本部は過去24時間に7回、ロシア軍を撃退したと発表し、双方の激しい攻防が繰り広げられています。

ウクライナ東部への攻勢を強めているロシア軍は、セベロドネツクからドネツ川を挟んで対岸に位置するリシチャンシクに対しても砲撃などを行っていて、5日、現地で撮影された映像では、攻撃で州政府の庁舎などが破壊された様子が確認できます。

現地を視察したウクライナの警察の職員は「夜の間に街の中心部が砲撃され、住宅や社会インフラが被害を受けた」と話していました。

一方、激戦が続く東部ルハンシク州のセベロドネツクでは、一時劣勢とみられていたウクライナ側がロシア軍を押し返し、ガイダイ知事は5日に「市の半分を奪還した」とSNSに投稿しました。

ウクライナ軍は、セベロドネツクの守備を固めるとともに、東部のほかの地域で反転攻勢に出ようとしているものとみられます。

ウクライナ軍の参謀本部は6日朝、SNSで「ドネツク・ルハンシク方面ではこの24時間で7回、敵の攻撃を撃退した」と発表し、ロシア軍の戦車を破壊し攻撃ヘリコプターも撃墜したとしています。

アメリカのシンクタンク、戦争研究所は5日、「ロシア軍が兵力をセベロドネツクに集中している中で、ウクライナ軍がほかの地域での反撃に成功している」という分析を示しています。

原発公社 “原発上空をロシアのミサイルが低高度で飛行”

ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトムは5日、SNSのテレグラムへの投稿で、ウクライナ南部ミコライウ州の南ウクライナ原子力発電所の上空を、ロシアの巡航ミサイルが「極めて低い高度で飛行した」と明らかにしました。

エネルゴアトムが、現地時間の5日午前5時半に南ウクライナ原子力発電所の監視カメラが捉えたものだとして公開した映像には、ミサイルとみられる細長い物体が原発の上を低空で飛んでいく様子が写っていて、エネルゴアトムは、首都キーウに向けて発射されたミサイルの可能性があるとの見方を示しています。

エネルゴアトムは「ロシアはウクライナの原子力発電所の安全を脅かし続けている。ミサイルの小さな破片ですら、原子力災害を引き起こすおそれがあることを、ロシア側は理解していない」と非難しました。

ロシア外相 セルビア訪問を中止 “周辺国が領空を飛行禁止に”

ロシアのラブロフ外相は、ロシアと伝統的に友好関係にあるヨーロッパのセルビアを6日から訪問し、ブチッチ大統領らと会談する予定でしたが、6日、オンラインの記者会見で、訪問を中止せざるを得なくなったと明らかにしました。

中止の理由についてラブロフ外相は、自身が乗る予定の航空便についてセルビアの周辺国が領空を飛行禁止にしたためだとし「一部のNATO=北大西洋条約機構の加盟国による前代未聞の決定があり、信じられないようなことが起きた。セルビアとの関係は誰も壊すことはできない」と述べ、欧米側が両国の関係強化を妨害しようとしていると強く批判しました。

そのうえで、代わりにセルビアの外相をモスクワに招待することを計画しているとしています。

これに先立って、セルビアの地元メディアは、いずれもNATOに加盟する周辺国の、ブルガリア、北マケドニア、そしてモンテネグロの3か国がラブロフ外相の搭乗便を飛行禁止にしたと伝え、ロシア外務省もこれを確認していました。

また、ロシア大統領府のペスコフ報道官も6日、記者団に対し「一部の国の敵対的な行為でラブロフ外相の訪問がずらされたが、これによってセルビアなど友好国との関係に大きな支障をもたらすことにはならない」と述べ、欧米側をけん制しました。