北朝鮮 弾道ミサイル 異例の発射 少なくとも3か所 短時間に6発

防衛省は5日午前、北朝鮮から弾道ミサイル少なくとも6発が、東の方向に発射されたと発表しました。
防衛省は、複数の場所から同時に発射する能力の試験の可能性があるとみています。
少なくとも3か所の場所から短時間に6発を発射するのは異例で、詳しい分析を進めています。

北朝鮮が5日午前、複数の地点から発射した弾道ミサイル少なくとも6発の詳細です。

防衛省によりますと、
▽1発目は9時6分ごろに西岸付近から東に発射され、
最高高度はおよそ50キロ、飛んだ距離はおよそ350キロ。

▽2発目は9時10分ごろに東岸付近から東に発射され、
最高高度はおよそ50キロ、距離はおよそ300キロ。

▽3発目は9時15分ごろに西岸付近から東に発射され、
最高高度はおよそ50キロ、距離はおよそ400キロと推定されています。

また、
▽4発目は9時24分ごろに内陸部付近から東に発射され、
最高高度はおよそ100キロ、距離はおよそ350キロ。

▽5発目は9時半ごろに西岸付近から東に発射され、
最高高度およそ50キロ、距離はおよそ400キロ。

▽6発目は9時41分ごろに内陸部付近から東に発射され、
最高高度およそ100キロ、距離はおよそ300キロと推定されています。

北朝鮮 複数のミサイル発射は過去にも

北朝鮮が、複数の弾道ミサイルを発射したケースは過去にもあります。

防衛省によりますと、
▽平成18年7月には射程が1000キロを超える弾道ミサイル「ノドン」や、長射程の弾道ミサイル「テポドン2号」などを1日のうちに合わせて7発発射しました。

また、
▽平成21年7月にも短距離弾道ミサイルの「スカッド」や、「ノドン」などを合わせて7発発射しました。

弾道ミサイルを3発以上発射した最近のケースを見ると、
▽平成29年3月に「スカッドER」と呼ばれる短距離弾道ミサイルを4発発射したほか、
▽5月12日にも弾道ミサイル3発を発射しています。

過去の発射のあと、北朝鮮は「同時発射訓練に成功した」などと発表していて、防衛省は、今回も複数の場所から同時に発射する能力をテストした可能性があるとみています。

また、今回のように少なくとも3か所の場所から短時間に6発を発射するのは異例で、詳しい分析を進めています。

韓国軍 「4か所から合わせて8発発射」

一方、韓国軍は、北朝鮮が5日午前9時すぎから30分余りにわたって、短距離弾道ミサイル8発を発射したと明らかにしました。

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が8発の短距離弾道ミサイルを発射した場所について、
▽首都ピョンヤン(平壌)郊外のスナン(順安)、
▽西部のピョンアン(平安)南道ケチョン(价川)、
▽北西部のピョンアン北道トンチャンリ(東倉里)、
▽東部のハムギョン南道ハムン(咸興)付近の、
合わせて4か所だったと発表しました。

また、8発のミサイルの
▽飛行距離はおよそ110キロからおよそ670キロ、
▽高度はおよそ25キロからおよそ90キロだったとしています。

元海将「“同時弾着射撃”をねらった可能性」

海上自衛隊で司令官を務めた元海将の香田洋二さんは今回、北朝鮮が発射したミサイルについて、その飛距離や高度などから、2019年以降、発射を繰り返している多連装のロケット砲や短距離弾道ミサイルではないかと指摘しています。

そのうえで、今回、複数の地点から少なくとも6発発射されたことについて「別々の場所から撃ったミサイルを、特定の地点にほぼ同時に弾着させることで、迎撃されにくくする『同時弾着射撃』をねらった可能性がある。ミサイルの性能確認が第一の目的ではあるだろうが、同時に、戦術的な応用という目的をあわせ持つ発射だったのではないか」と話しています。

発射の背景については、4日まで沖縄の南の海上でアメリカの空母や韓国軍のイージス駆逐艦が参加して共同訓練が行われたことに触れ「北朝鮮としては、韓国でユン政権が発足して以降、特に米韓の連携が強まっていることに反対していくという、強いメッセージを送ったのではないか」と指摘しています。

そのうえで「北朝鮮は長い間、主力とされてきた冷戦時代の古いスカッドミサイルの更新を急速に進めていて、即応性や精度がともに格段に進歩している。日米韓が今まで以上に瞬時に役割分担を決めて対応することが求められ、大きな宿題を突きつけられていると言える。日米韓の連携をしっかりと見せることが北朝鮮の挑発や冒険主義を抑止する最大の手段だ」と述べ、日米韓3か国の緊密な連携が引き続き重要だとしています。