北方領土 貝殻島周辺のコンブ漁 日本とロシアの民間交渉妥結

北方領土の貝殻島周辺で行われるコンブ漁をめぐる日本とロシアの民間交渉が3日、妥結しました。ロシアによる軍事侵攻の影響で例年より大幅に遅れての妥結となりましたが、漁が継続できることに漁業者からは安どの声が上がっています。

北方領土の貝殻島周辺で行われるコンブ漁は日本とロシアの民間交渉で操業条件を決めたうえで例年、6月1日に解禁されています。

しかし、ことしはロシアによるウクライナ侵攻の影響で、交渉開始が例年より1か月以上遅れて5月27日に始まり、1日をすぎても出漁できていません。

こうした中、オンラインで行われていた交渉が3日、妥結しました。

交渉にあたった北海道水産会によりますと、漁の期間は去年と同じ6月1日から9月30日までとなりました。

▽採取するコンブの量は去年より89トン少ない3381トン、
▽ロシア側に支払う採取料は去年より233万円少ないおよそ8851万円となりました。

ことしは去年より11隻少ない220隻が出漁する予定で、漁が始まるのは6月中旬以降になる見通しです。

交渉に参加した歯舞漁協の小倉啓一組合長は「時間はかかったが、妥結してほっとしている。とにかく出漁できることになってよかった」と話しています。

漁業者「安全に操業ができるか心配な部分も」

コンブ漁の拠点の1つとなる根室市の珸瑤瑁漁港では4日、出漁に向けて準備する漁業者たちの姿が見られました。

漁船の準備をしていた74歳の男性は「安全に操業ができるか心配な部分もあるが、例年以上に注意して漁を行いたい」と話していました。

根室市にある歯舞漁協昆布漁業部会の柿本康弘部会長は「ことしも操業を継続できることになりほっとしている。安全第一で漁を行いたい」と話していました。

北海道水産会によりますと、ことしのコンブ漁には去年より11隻少ない220隻が漁に出る予定だということで、今後、出漁に向けた準備が本格化することになります。

北海道 鈴木知事「多くの関係者 操業を待ち望んでいた」

北海道の鈴木知事は「貝殻島のコンブ漁は歴史的に重要な漁業であり、多くの関係者が操業を待ち望んでいたと思う。道としては安全な操業が確保されるよう関係団体と連携して取り組んでいく」という談話を発表しました。
また、根室市の石垣雅敏市長は「コンブ漁の灯が途絶えることなく継続できたことに安どしている。地元経済にとって欠くことのできない大切な沿岸漁業であり、将来にわたり引き継がれていくことを望む」というコメントを出しました。