観光船沈没 船底仕切る壁に穴 事故前検査で確認せず 法適用外

北海道の知床半島沖で観光船が沈没した事故で、船の底を仕切る壁に穴があき、前方に水がたまりやすい構造になっていたことについて、国土交通省は事故直前の検査で確認していなかったことを明らかにしました。
法律上、陸の近くを航行する船は壁を密閉することが求められていないためだとしていますが、専門家は「船が沈むのを早めることになり疑問だ」と指摘しています。

知床半島の沖合で観光船「KAZU 1」が沈没した事故では、海底から引き揚げられた船の、前方の甲板の下にある船の倉庫=船倉を仕切る壁に穴が作られ船底の前方が大きな空間になり、より多くの水がたまりやすい構造になっていたことが分かっています。

国土交通省は、船倉を仕切る「隔壁」と呼ばれる壁にできた穴について、事故3日前の検査では確認していなかったことを明らかにしました。

理由について、通常、小型船の隔壁は法律で密閉することが義務づけられているものの、今回の船は、陸から近い範囲を航行するため、法律の適用外だったためだと説明しています。

一方、海上保安庁で、現場トップの海上保安監や警備救難部長を歴任した伊藤裕康さんは「隔壁は、浸水を食い止め船の沈没を防ぐために重要な構造になっていて、今回の船に隔壁がなかったのは沈むのを早めた可能性がある。陸の近くを航行するとはいえ、多くの人の命を預かる旅客船に隔壁を設けなくてもいいとする規定は疑問だ」と指摘しています。

これについて、斉藤国土交通大臣は3日の閣議後の記者会見で「事故との関係については、現在、調査を実施していて、回答を差し控える」と述べるにとどまりました。