“アフリカ食糧事情悪化“ セネガル大統領ロシア訪問し伝える

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機の懸念が強まる中、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領がロシアを訪れてプーチン大統領と会談し、アフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。

ロシアによる軍事侵攻が続いているウクライナは小麦など穀物の世界有数の輸出国ですが、南部の黒海に面する港がロシア軍に事実上、封鎖されて穀物の輸出がとどこおっています。

こうした中、AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領が3日、ロシア南部のソチを訪れ、プーチン大統領と会談しました。

その冒頭、プーチン大統領がアフリカ諸国との関係を強化する考えを強調したのに対し、サル大統領は「アフリカ諸国はウクライナの戦地から離れているが、経済的なレベルで犠牲者となっている」と述べ、ロシアのウクライナ侵攻の影響でアフリカの食糧事情が悪化していることを伝えました。

また、サル大統領は「ロシアに対する制裁がアフリカへの穀物や肥料の供給の状況を悪化させている」と述べ、ウクライナだけでなく、ロシアからも穀物などを輸入しているアフリカ各国の苦しい立場を強調しました。

ロシアによるウクライナ侵攻と欧米の対抗措置は世界経済に大きな影響を及ぼしていますが、事態が収束する見通しは立っていません。

セネガル大統領「SWIFT混乱すれば支払い不可能に」

AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領は5月31日にも、ベルギーのブリュッセルで行われたEU=ヨーロッパ連合の首脳会議にオンラインで一部、参加し、ロシアに対する制裁の影響に懸念を示していました。

このなかでサル大統領は、欧米が制裁の一つとしてロシアの金融機関を国際的な決済ネットワーク、SWIFT(スウィフト)から締め出していることに触れ「締め出しによって引き起こされる混乱の影響をわれわれは懸念している。SWIFTのネットワークが混乱すれば、製品はあっても支払いが難しくなるか不可能になる」と述べ、アフリカの国々が影響をこうむると訴えました。

プーチン大統領 “食糧問題 ロシアに責任転嫁”

ロシアのウクライナ侵攻により、食糧危機への懸念が強まる中、ロシアのプーチン大統領は3日に放送された国営のロシアテレビのインタビューの中で「世界の食糧市場で起きている問題についてロシアに責任を負わせようとしている」と批判しました。

そのうえで「ロシアは無条件で安全な航路を確保し、船の安全な入港を保証する。ウクライナから穀物を輸送する問題など存在しない」と述べ、ウクライナ南部の黒海に面する港から穀物の輸出を妨げる意図などはないと主張しました。

また、プーチン大統領は、欧米がロシアに対して制裁を科したことが世界的な肥料の値上がりにもつながっているとして欧米を強くけん制しました。